起業に失敗した人の中には、資産を全て失い、最悪の場合は自殺する人さえいます。多くの人が起業に対して、一定の距離を置こうとする理由はここにあります。起業が原因で自殺する人の背景を、NPO法人「自殺対策支援センターライフリンク」が精神科医とともに調査して、このほど「自殺実態調査」をまとめました。
2007年から5年かけ、自殺者の遺族523人からの聞き取り調査です。大きな特徴が2つあって、1つは経営破綻から自殺までの時間を調べています。自ら起業した人が最も短く2年。正規の雇用者は4年、親から事業を引き継いだ人は4年7カ月。非正規雇用者は6年11カ月です。責任の重い順のような気がします。
特徴のもう1つは、連帯保証人の問題。開業にあたっては、資金を借り入れる人が多いのですが、事業が行き詰ると返済ができなくなります。その場合、金融機関は保証人に返済を求めますから、起業した人はとても厳しい立場に追い込まれます。自殺する原因として、この保証人問題を抜きには語れません。
結局は、自分の保険金などで返済するため自殺を選らんでいます。調査によると、自殺する人の多くは「従業員を解雇した後は仕事をせず、家で過ごすことが多くなり、口数も減っていった。資金繰りに窮するようになってからしばらくして自殺」と言ったパターンをたどるようです。メインの取引先の倒産や、注文の激減を乗り切るため、資金繰りばかりに注力しています。
わたしが問題にしたいのは、起業家が独立する時のプロセスです。大半の人は、仕事が他人よりできるというだけで独立を考えます。事前に経営者としての、トレーニングなどはほとんどしていません。昨日まで社員だった人が、明日から経営者では無理があります。そのため、経営が厳しくなった時の選択肢はほとんどない状態です。
事業が好調なときでも、次の事業を考えなくては継続できない時代です。一つの取引で躓いたらそれで終わり、自殺しかないでは、起業自体があまりに無謀すぎます。起業する以上は、単に仕事ができるだけでなく、経営者としての能力を高め、転ばぬ先に対策を考えることが現在の起業では求められます。失敗対策はいくらでもありますから。
元気にお過ごしですか。起業アドバイザーの中山おさひろです。
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