これからのビジネスでは、「考える組織」が市場を制するといわれるようになりました。高校や大学野球では考える選手を育てた学校が優勝し、リオ五輪でも考える力のある選手が活躍しています。
中小企業に目を向けますと、ソフト開発の面白法人「カヤック」、キャンプ用品の「スノーピーク」、営業用食品卸の「西原商会」など、一般には知られなくても、考える社員の活躍で確固たる地位を占める会社が増えています。
わたしも、これからの小企業は考える経営を実践することで、効率よいビジネスと高い利益を目指すべきと思っています。そこで問題になるのは、「考える」とは何を考えることなのかです。
最近、4人の読者の方から、考える方法に関して似たような質問を受けました。「企業経営を目指す以上は、誰もがそれなりに考えているはずで、その考え方は個人の資質や財産ではないの?」
考え方に関する研究は、やはり米国において長いこと進んでいました。ただ、ビジネスのための考え方というよりも、政治や経済、道徳的な問題に対する考え方です。
そんな中、マサチューセッツ工科大のジェイ・フォレスター教授の「システムの原理」(1968年)というPCシミュレーションの入門書が、ビジネスを展開するためのシステム設計書として注目されるようになりました。
わたし自身は会社を退職後に入った学校で、情報システムの仕組みを覚え、システムの基本設計を学ぶ中で、全体設計の考え方が企業経営に活用できるとこの考え方を知りました。
従来のロジカル思考が、経営上の問題点を一極集中で考えるのに対し、システム思考は会社全体のバランスの中で解決法を探る手法です。また、個人が持つ考え方のクセを修正することも求められます。
現在、市販されているビジネス書、経営書の多くは、フォレスター教授の発想を基に作成されていると考えて間違いないです。システム思考やシステムシンキングの題名で多数出版されていますから、一読されることを勧めます。
【ひと言】
昨年亡くなった任天堂前社長の岩田聡さんは、天才的なプログラマーと言われていました。同時に経営者としても能力を発揮しました。彼は2002年に社長に就任したとき、企業経営には自信があると発言し、その根源はプログラムの全体設計の考え方が生きるはずと言っていました。フォレスター教授の考え方を実現した経営者の一人でした。
起業アドバイザーの中山おさひろです。
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