今から4年ほど前、宅配ピザ屋がボロ儲けしている仕組みを、公にする情報が盛んに流されました。同時に、500円で本格的ピザを販売するピザ店「NAPORI」(ナポリ)の名称が広く知られた時期でもあります。
そのナポリを運営している遠藤商事(東京・目黒区)が先月倒産しました。11年5月に設立してから6年後のことです。ナポリは、直営27店、フランチャイズ47店を開業していました。
メディアを通じて大々的にPRしていましたから、ナポリに関して知っている人も多いと思います。社長の遠藤さんは、13歳でイタリアに渡ったジュニアのプロサッカー選手のようです。
イタリア滞在中にピザの製法を学び、窯焼きピザを日本国内で広がるキッカケを作ったとも言われます。また遠藤商事の隆盛は、わが国における銀行の金融緩和とも重なっています。
日銀が異次元の金融緩和を実施したのが13年4月からで、現在は銀行がサラ金並みに消費者向け資金貸出しに奔走します。遠藤商事が500円の本格的ピザが売れ出すと、融資先を探していた金融機関が貸し出したようです。
この辺からはわたしの予測ですが、資金が集まっていることで直営ピザ店を次々に開業し、次に本格的格安ピザ販売のビジネスモデルをフランチャイズ化して、ブランドと営業ノウハウを売り出しました。
次いで餃子専門店や和食店にまで手をだしたのは、資金が集まり過ぎると専門外のビジネスにも投資したくなる、起業家の慢心のようなもの。16年9月期には25億円の過去最高の売上げを記録します。
ただ、急激な業容拡大によって今度は一転して資金繰りが厳しくなります。取引先への支払い遅延が表面化しますが、それでも資金集めの余力があって、昨年初期には危機から脱していました。
この間、窯焼きピザの最速1枚90秒焼きのシステム開発に成功したことで、職人技をシステム化したとして「JAPAN VENTURE AWARDS 20016」中小企業庁長官賞を受賞しています。
ところが結局、16年末には再度の資金繰り不安が発生して、今回の倒産につながりました。遠藤社長のストーリー性のある起業と、ピザ作りの技術革新は高く評価されています。
同時に、経営者としての経営能力不足や、宅配ピザ業界を敵に回した事業の割には、脇が甘かったことは指摘されます。ずぶずぶの金融緩和が進むわが国で、資金運用の怖さを忘れた無知な経営の怖さを知らされた倒産です。
【ひと言】
競馬やパチンコで大勝した人なら経験があると思いますが、勝った後は続けて勝ちそうな錯覚に陥ります。起業で成功した経営者も、このままいつでもお客さんが集まりそうな錯覚をします。実際は、まったくお客さんが来ないことも起こるわけです。ただ、勝ちのときに大きな判断をしますと、その後に地獄をみるようなことになります。下手な大勝は怖いです。同時に、波に乗らないと事業は大きくできない、矛盾がつらいです。
元気にお過ごしですか。起業アドバイザーの中山おさひろです。
現在、人気ブログランキング 起業部門 34位から 30位に上昇しています。ここでクリックお願いします。 人気ブログランキングへ