最近の人手不足は深刻で。せっかく就職面接で採用しても、ひと月持たずに辞める人も少なくないです。電設工事会社の社長は、やっと採用した21歳の男性に、仕事が「自分には合わない」と言われショックを受けていました。
この場合の合う、合わないは相性のことでしょうが、この夏小学校で泳を教えたときにも、一学年約60人のうち1割くらいの生徒に、水泳が「わたしには合わない」と言われてショックでした。
仕事もスポーツも同じですが、初めてはじめる人に相性が合うことなど、そうそうあるものではありません。実際に相性といえるのは、取り組み始めて1年、2年と時間が経過してからのことです。
簡単にできるから相性が良い、苦労するから相性が悪いという基準でいうなら、大半の人が初めて手掛けることは相性が悪いはず。相性のよい取り組みの場合には、直ぐ飽きてしまう可能性も高くなります。
似たようなことは、人間関係においても言えるはずです。自分に似たような思考や趣味の人とは相性がよく直ぐ仲良しになりますが、まったく異質な環境の人とは一生つながることがありません。
ところが、今日本社会に求められているのは、環境のまったく違った多様性の発想をする人の思考を取り入れることです。新たなアイデアや発想は、異質なもの同士が交じり合う場所で生まれることがはっきりしています。
居心地の良い安住した場所からは、社会も、個人も、成長や進化が生まれることがありません。相性の合う仕事や人間関係ばかりを探していると、一生成長が止まるそんな危険を隣り合わせになる可能性があります。
人間の長い人生を考えますと、相性が合うことばかりに焦点を当てて過ごしていると、人生の終盤にはとんでもない苦労が待ち構えているような気がします。仕事も起業も、もっと長い目で取り組んではどうでしょう。
【ひと言】
若い人の中には、仕事が自分を成長させてくれるかどうかで判断する人が多くいます。昔から、人間が成長するポイントは、どれだけ初対面の人と接する機会があるか、どうかと言われます。日本人には、最も弱いポイントでもあります。多分、一人でも多くの初対面の人と会っていると、相性が良し悪しなんて言っている暇はないような気もしますが。