この国では、人は亡くなると誰もが火葬され骨と灰になってしまいます。どんなに金を貯め込んだ人でも、最後は骨と灰しか残りません。
骨は、墓や納骨堂に収められますが、今問題になっているのは残骨灰の方です。以前は、人の亡骸は土に戻す習慣から、火葬場を運営する自治体なりに任せていました。
ところがこの残骨灰の中に、仏さんが身に着けていた金や銀など貴金属が含まれています。また人によっては、インプラントに使用されたレアメタルも見つかり、売却益が想像以上に大きいことが判ってきました。
これまでは、残骨灰の処理業者にお金を支払って処理をお願いしていたものが、今は業者間の奪い合いになっています。横浜市は、業者に灰を売却するまでに立場が変化しています。
処分に困っていた無用物が、あるとき価値がでて奪い合いになるビジネスモデルとそっくりです。ただ、同じ無用物とは言っても、こちらは仏さんですから自治体にとっては悩ましい問題です。
残骨灰は、仏さんの延長ですから敬虔に処理されるべきと考える人がいます。一方で、貴金属やレアメタルは人類の限られた資源ですから、再利用するのは仕方がないという考え方もあります。
モノの価値観ばかりでなく、宗教観、倫理観なども交じって、残骨灰の処理は難しい問題です。他にも、今は不要なものでも、時代が変わると有益なモノに変わる例はあります。
今一度、自分の身の回りや住んでいる周辺地域を見回してみてはいかがでしょうか。処分に困っていたものが、本当は利用価値があるなんて起業には最適な話です。
【ひと言】
わたしが無用物で真っ先に思い浮かぶのは、フランス料理によく出てくるムール貝です。子どものころよく遊んでいた港の使われない施設周辺の水中には、たくさんのムール貝がへばり付いていました。海水が汚いため誰も獲る人もいませんでしたが、東京のレストランでは食材として利用されていてびっくりした経験があります。似たような話はよくありますね。