社員の副業を認める会社が急速に増えています。富士通やソフトバンクといった大手ばかりでなく、従業員50人の経営者でさえ、「できる社員に辞められるよりは副業を認めようと思う」と言い出しています。
ここにきて副業がクローズアップされている背景は、今年1月、厚労省が公表している『就業規則モデル』の文面に「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」と書き込まれていたからです。
他の先進国の労働環境と比較して、わが国の雇用は終身雇用や年功序列の制度が崩れているにも関わらず、従業員への会社の規制や縛りは相変わらず続いたままの状態です。
また、90年代後半のバブル経済の崩壊以降、賃金は長い間据え置かれたままの人が多く、日本経済が好転しない原因にもなっています。デフレからの脱却のためにも、労働者の収入増加は欠かせません。
もう一つ、サラリーマンも10年以上同じ仕事に従事していますと、仕事への発想も取り組みも煮詰まってきます。このような状態から脱するには、他の仕事をしてみることが決して悪いことではありません。
ただ、現在の副業には問題もあって、例え会社が新たに副業をすることに理解を示してくれても、この国には副業・兼業に対する法律的規定や労務管理の責任の所在がはっきりしていません。
外部からみていると副業で収入を得ることは楽も思えますが、実際は厳しいです。特に、自分でゼロから立ち上げるビジネスは、起業と同様に苦労しますがかけがえのない経験にはなります。
【ひと言】
副業は収入増ばかり話題になりますが、仕組みの違う二つの仕事を経験することによって新たな発想を生むきっかけになります。現代のイノベーションはほとんどこの仕組みから生まれていますから、副業のレベルを上げることで新たな価値を期待できます。副業を勧める会社側もこの効果を狙っているようです。