以前から気になっていたことですが、起業準備をスタートさせると話していた人が、どこで方向転換をしたのか、資格試験に挑戦することが起業へのステップと変換する人が意外と多いことです。
当初から資格を取得することで起業に向かう、ストーリーを描いているなら問題ありません。まったく予定にはなかったのに、どこで道が変わったのか判りませんが、全ての時間を資格試験のために使うような人が目立ちます。
資格を持っていることが、起業にとって有利ということはあります。起業に失敗した場合、資格を保有していることが、その後の就職などには都合がよいといったケースがあるかも知れません。
わたし自身、その昔に中小企業診断士を受験し、失敗した経験があります。その後も知的財産管理技能士の試験を受けています。ただ、後から考えますと起業にとってはほとんど役立っていません。
現在、わが国は資格保有者の数が多すぎ、一つの資格だけで一定以上の収入を得ることが難しくなっています。結局資格を取得したとしても、現状の会社勤めのまま、改めて起業を一から始めることになります。
起業の過程で勉強に励むことは大事ですが、答えのある資格試験を学ぶのと、課題を考えることが大事な起業とでは違います。これからの時代は的確な課題を考え、そこから最適な答えを創造することが求められます。
資格とは業界の常識を学ぶことであり、起業は常識から外れたところにビジネスチャンスを探す行為。ここに大きな段差ができていて、つまずく人が増えているように思います。
起業は、あなたの人生に関わる大きな問題。自分で真剣に考えないと、他人は誰も考えてくれません。わたしからは、課題から逃れることなく、よく考えて判断してくださいとしか言えない問題です。
【ひと言】
医者、弁護士、税理士など、資格ビジネスは収入が上位に位置する職業ですが、最近この職業の人が犯す犯罪が増えています。これらの職業でも、資格を保有しているだけでは、高い収入が保証されない時代になっています。正確な答えを求めてさえいるとよかった時代から、自分で課題を考える時代は言うのは簡単ですが、実際に考えて対応を探るのは難しいことです。