「以前居酒屋を開業していてノウハウがあるので、近いうちに再び開業しようと考えています」 起業の業種選びの動機は一人ひとり違いますが、過去の経験を生かして起業する人が主流です。
最近は少なくなりましたが、バブル経済で恩恵や影響を受けた人の中には、今度は自分も同じような業種業態を真似て、賢く儲けて資金を残そうと考える人もいました。
若い人が、新しいことで起業を目指すのとは反対に、過去の儲け話やノウハウに頼る中高年が起業するケースです。これまで何人も、過去の成功体験を基に再現を図った人を見ましたが、ほとんど人は失敗しています。
一見、以前と同じようなビジネスを行なうと、同じような結果が得られそうに思いがちです。再現することは可能でしょうが、方丈記の「ゆく河の流れ絶えずして、しかももとの水にあらず」と同じで時代は常に変化します。
時代は時計の針と同じに回っていて、決して逆に戻ることはありません。再度、開業する人だけは戻したつもりでも、お客さんが同じ思いになってくれないとビジネスとしては成り立ちません。
行なうビジネスが同じだから、同じような結果になると思い込みたくなります。しかし、提供する商品やサービスは同じでも、その周辺環境はがらりと変わり、お客さんのニーズも味覚も変化しています。
お客さんニーズを探る→ニーズに応える商品(サービス)を揃える→集客方法を探る→販売管理を考える→営業開始→仕組みづくり、と言う流れの中でシステムとして起業を考える時代です。
以前売れた商品(サービス)というように、断片だけを取り外して無理やり売ろうと考えても、現実には売れないことが多いです。お客さんニーズを第一にシステムの流れで考えると、まったく別の展開になることがほとんどです。
【ひと言】
誰もが肌で感じていると思いますが、今は社会も、技術も、人間関係も変化の早い時代。しかも、その流れは一方方向に向かって流れ続けています。決して、元に逆戻りすることはないです。1カ所として滞ることも、同じ場所に戻ることもありません。これは人間が生きるうえでも、ビジネスを行なう上でも、変わらぬ原則と考えてよいのでは。