「うちは会社が小さく資金がなくて無理だけど、今の時代は資金があるなら優秀な人間を多く集めて、画期的な面白いビジネスをするには最適な時代なんだけどな~」
中小企業経営者の中には、優秀な人材を集めることができると、IT時代の現代はビジネス拡大が可能と考える人が少なくないです。大手企業経営者の中にも、人材次第で事業規模はいくらでも大きくなると思っている人はいます。
優秀な人材が集まった企業組織といいますと、大学発のベンチャー企業が典型です。気心も知れた優秀な人が最も集まりやすい組織で、各大学が力を入れた会社づくりを始めて既に20年近くが経ちます。
今では上場する会社も現れてはいますが、中堅企業レベルまで組織を大きくしたベンチャーは今だにゼロです。小世帯のうちは活発な活動をしていた会社も、規模が大きくなると空中分解している会社も少なくないです。
人間が多く集まって組織になると、2:6:2の法則が当てはまるようになるとは古くから言われていたこと。働きアリの法則とも、パレートの法則ともいわれていることです。
会社のために優秀な仕事をする人は2割、この人たちに引きずられるように働く人は6割、あまり役には立たないと思われる人が2割。この配分は、東大京大のクラスでも、トヨタや日立の部署にも起こるようです。
そのため、あまり会社の役にたっていないと思われる人を辞めさせることを考えるより、どう組織の中で仕事をしてもらうかを考えることが、経営者の能力の問題と思われます。
優秀な人だけの会社を考えることは、解決不能な問題に取り組む行為に似ています。ただ、経験不足の経営者の中には、この無駄な行為に精をだしている人も多数いることも確かです。
【ひと言】
企業経営の鉄則の中には、「会社という組織は、経営者の器以上に大きくなることはない」という耳の痛い鉄則もあります。いくら優秀な人の力で会社を大きくしようとしても、社長が思い描く理想の会社以上になることはない。今の時代は技術の進歩が激しいですから、理想も直ぐに古ぼけたものになります。経営者自身の能力向上も問われています。