7月に楽天市場で発生した個人情報の流出事件は、まだ原因が判明せず、流出した情報件数もはっきりしないため、ネットショップを運営しているオーナーやネットショップの開設を計画している人にとって、連日の蒸し暑い真夏日同様に不快な思いをしていると思う。
情報が流出した輸入雑貨を扱うAMSでは、これまでに楽天で約21000件のクレジットカードによる決済をしてきたが、その中の284件の情報流出を確認しているということで、事件の全体像がはっきりするまでは時間が掛かりそうだ。
楽天では一時的な対策として、8月11日に「カード決済あんしん代行サービス」をスタートさせ、ショップとカード会社の間で行っていた決済処理のうち、カード情報のみを楽天が代行する。この仕組みでは、カード情報がショップには渡らなくなり、楽天の代行サービスに加入しない限り、楽天のカード決済が出来なくなる。
実は楽天では、今年2月から代行サービスに似た「R-Card plus」を開始していたが、14000店のショップ全体の約3000店が加入するに留まっていた。今後はすべてのショップがR-Card pius対応にする計画で、9月からはお客さんのメールアドレスもショップに渡らない仕組みも導入する。
これまで楽天市場に出店していたネットショップオーナーにとっては、独自でカード会社との間に築いてきた信頼関係や低い決済手数料率が楽天にとって代わられることによって、負担費用の増額につながると心配している。また、ショップの生殺の与奪権を楽天側に握られることにもなり、ビジネスとしてのリスクは高まることになる。
これからネットショップを開設する予定の人にとっても、楽天の直接管理は関心の高い事柄と思う。ヤフーやビッダーズでの出店もあるし、カード一辺倒の取引を銀行や郵便振り込みに切り替えることも考える必要がありそうだ。
いずれにしろ、米国で起きたクレジットカードの個人情報大量漏洩に続く、楽天の個人情報流出で、新たな対策を考えなければ、お客さんのカード取引拒否が広がりそうな雰囲気になっている。これを危機と見るか、新たなチャンスと見るか、起業家の力量の問われるところだ。