今、起業界の注目の的は、昨年8月に
ユーグレナを設立した出雲充社長(26)だ。まず最初にユーグレナの説明をしなくては、この起業の規模が理解できないと思う。
ユーグレナはミドリムシとも云われる動物と植物との中間生物。既に知っている人もいると思うが、必須アミノ酸やビタミン、ミネラルなどを豊富に含んでいる生物で、わが国では出雲社長の働きかけで東京大学と大阪府立大学とが共同研究を行い、大量培養に成功している。
出雲社長は学生時代から起業に強い関心をもっていたが、この中間生物の存在を授業で知り、大量培養することで事業化に成功したら「社会に役立つ企業が作れる」と考えた。この辺までは、学生のノリによる起業の思いつきで終わるところだが、出雲社長は卒業後に都市銀行に勤めながら、本気で準備に奔走しだした。
共同研究する大学探しも彼自身が行っているし、ベンチャー企業経営者の下には飛び込みで訪れ、起業のためのノウハウを学んでいる。
この出雲社長の考え方や熱意に共感したのが、マイクロソフトの元社長の成毛眞さんである。成毛さんは、彼が経営するベンチャー支援会社ぐるみでユーグレナの支援を行い、今年4月にはこの中間生物を使ったサプリメントの発売を開始した。
まだ、取引先は少なく、事業としても一人立ちして歩けるまでには時間が掛かりそうだが、栄養価の高いユーグレナには世界の食料問題を解決するためのキーワードがふんだんに含まれていて、今後の事業展開によっては日本発の国際的な食料会社に発展する可能性を秘めている。
一見大変な事業のようにも見えるが、要は大学を巻き込んでの産学共同事業がベースになっていて、これから起業を目指す人にも課題と産学の仕組みを使いこなせたら、決して難しい事業ではない。
起業のモデルケースとして、これからのユーグレナに注目してもらいたい。
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