JR中央線、武蔵境駅南口から南に進むこと約2キロ、周囲の煤けた街並みを裏切るド派手な二階建ての建物が現れる。
これが「
三鷹天命反転住宅」である。
NY在住の芸術家・荒川修作氏とアドリン・ギンズさんの設計による集合住宅の内覧会が、今月から開始され、大変な反響をよんでいる。
初めてこの住宅を見た人は、壁面を彩る14色の色彩に衝撃をうけるが、内部の球体の部屋に入ると衝撃は哄笑に変る(笑)
床や壁が垂直ではなく、フロアにはこぶがあったり、部屋の中心に位置するダイニングキッチンが、他より低くなっていたり、洗面所の奥にあるトイレに行くにはダイエットをしなくては通路を通り抜けられないなど、など。
ここにはおよそ、これまで誰も信じて疑わなかった「便利で快適な住まい」の発想はない。あるのは、便利になればなるほど増える生活習慣病や精神の怠惰へのアンチテーゼである。
これまで、起業にあたっても、利便性を高めることがお客さんの第一の要望と信じてきた。ただ、時代は次の展開を読み始めているのかも知れない。
不便であることがキーワードになる商品やサービスの出現もありそうだ。