2005年11月11日、経営学の父と言われたドラッカーが95歳で死んだ。
彼は、経営学者とも、経済学者とも、社会心理学者とも言われたが、実際は時代と社会の預言者だったと思う。大学教授でありながら、一つの大学の教授ではとても収まりきらない大きな存在だった。
1920年代後半から30年代にかけては、ドイツで証券アナリストや新聞記者をしながら、20歳過ぎの若者がいち早くナチスドイツの危険性を指摘、40年代にはゼネラルモーターズの研究で「会社の概念」を発表して、以後ビジネスの最前線で時代の変化を追い続けた。
起業に関連した発言でも、「事業の目的とは顧客をつくり出すこと」は、それまで一般的だった利益第一主義から決別して、顧客が企業にとっての最高の経営資源であることを確認させてくれ、起業家に目からウロコの大きな力を与えてくれた。
また、市場を見る「虫の目」と、世界経済を見る「鳥の目」と、時代の流れを見る「魚の目」を合わせもった預言者で、当ブログもあやかって「起業の目」を自称している。
起業は実業のため、勉強の資料としては起業のノウハウ本ばかりを読むことが多くなるが、自分の起業の背骨を作る意味でも、ドラッカーの本を一冊は読むことをお勧めする。
「経済人の終わり」「会社という概念」「現代の経営」「見えざる革命」「イノベーションと起業家精神」「断絶の時代」「新しい現実」「20世紀を生きて」などが知られている。
起業にかかわる一人として、長きに渡る研鑽に感謝して、冥福を祈りたい。