起業のとき、ほとんど宣伝をしないで起業をしたならどうなるか。大半の起業は、お客さんを集めることができず、人知れず消えていくと思われます。
ただ、ビジネスの業種によっては可能であることを、京都のAさんの起業は示唆しています。そのための事前準備も半端ではありません。わたしは、Aさんが起業した3年後にそのビジネスを知ってウオッチングしてきました。
子どものころから洋服好きだったAさんは、学校を出て勤めた会社も大手アパレルメーカー。この会社勤めのとき、2つの大きな出会いをしました。一つが、天然染料による手染めの技術を行っている工房です。
もう一つが、仕事でもパートナーとなる奥さんです。会社に入社して5年目に、染織りの技術に見せられ、会社勤めをしながら工房通いをして手染めを学んでいます。
その後は、会社を辞めて工房に就職し、本格的に修業を開始。2年後には独立して、手染めTシャツショップを開設します。素材にオーガニックコットンを使用した、高級Tシャツ販売です。
この時代、Tシャツ販売で起業する人の多くは、オリジナルプリントの低価格商品で売り出していました。時代の流れとは反対方向に進んでいましたが、逆に高級Tシャツの分野は外国製がほとんど時代です。
当初は、自前の工房を準備して、販売はインターネットだけで行うことを計画していました。たまたま、工房の内装で相談に行った建設会社が事務所を移転することを知り、その場所に工房と実店舗とを併設することに決めました。
起業した初年度は5カ月間だけでしたが、売上高約150万円です。月額にしますと30万円程度、家賃と仕入材料費を合計しますと、利益はまったくでない計算になります。
驚くのは、ほとんど宣伝をしないのに、毎年確実に売上げが増えていったことです。夫婦2人で製造販売を行いながら、3年目には何とか食べていける状態。現在は、製造が注文に追いつかないほど売れています。
販売価格は、オーガニックコットン素材で手染めTシャツが4000円程度ですから、決して高価格商品ではありません。リピーターのお客さんが多く、京都に旅行するときにお店に寄る人も多いようです。
よく知っている業界で、他ではほとんど販売していない商品を創り、効果的に口コミとリピーターとを増やすことによって、宣伝をあまりしなくても売上げを上げているAさん。これから起業する人には、参考になるビジネスの立ち上げ方です。
【一言】
Tシャツは、安い商品として世界的に価格競争が起こっています。その中で価格競争に巻き込まれない商品を作るには、時間をかけて仕掛けを考える必要があります。バナナの世界でも、1本100円のバナナを作っているエクアドルの日本人は、有名なサクセスストーリーになっています。どちらも最初はたいへんな思いをしてますが、厳しさに耐え我慢を続けて成功しています。
今日も読んで戴きましてありがとうございます。元気にお過ごしですか。起業アドバイザーの中山おさひろです。
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