公共事業が激減した2007年に、東北地方で父親の建設会社を継いだ二代目経営者が相談してきました。
それまで事業の柱だった国や自治体の仕事がどんどん減り、10人の従業員を食べさせるため、飲食店のフランチャイズ開業はどうかというものです。
国は建設業から事業転換する会社に、補助金を出して勧めていた時期です。 その時、わたしが書いた「周回遅れの建設業界での起業は、今がチャンス」を読んだようです。
同じ街の建設業者が次々に他の事業に転換していくなか、他の建設業者が廃業するようなら、建設業に留まるほうが受注は増え将来もあります。
一時、新規の建設工事が減っても、リニューアルやメンテナンス事業を続けながら建設業に留まるほうが、間違いなく有利です。
これまで建設作業員だった人たちが、飲食店店員に仕事を切り替えてうまくいくとは思えません。彼はその当時相当悩んでいて、気持ちは完全に飲食店オーナーに動いていました。
ビジネスの鉄則は、他の人とは違う道を進むことです。みんなが飲食店開業に進むなら競争は激しくなります。逆に、建設事業は競争相手が少なくなります。
その後、経営の厳しい時期が続きましたが、大震災が発生して東北地方の建設事業は劇的に変わりました。運よく、彼の住む地方は震災の被害がほとんどなく、建設の仕事は手に負えないほど依頼が来ていたようです。
その後は目まぐるしく忙しい日が続いて、今では休む暇がないことが最大の悩みです。そして現在は、会社の規模をこのまま拡大して、設備投資することがよいのか。
仕事の量に合わせ、従業員を増やすとよいのかどうかで躊躇しています。8年前とは、まったく180度悩みの質が変わってしまいました。
建設関係の仕事をしていて独立開業を考えている人も、周辺環境をよく調べたうえで、開業を考える時期に来ています。
【一言】
政府は来年4月の施行を目指して、労働者の働く時間ではなく、成果に対し賃金を支払う「脱時間給制度(ホワイトカラー・エグゼンプション)の新設を閣議決定しました。高年収をとっている人は、働き方が会社勤めよりも、自営業に近い仕事になります。今後、ますます成果を問われることになりますと、会社勤めよりは起業する方が手っ取り速くなりそうです。
今日も読んで戴きましてありがとうございます。元気にお過ごですか。
起業アドバイザーの中山おさひろです。
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