わが国の住宅建設は09年以降低いままで、14年度は約88万戸にまで減少しています。日本の景気が、いつまでも立ち直れない原因の一つとも言われます。
一方で、1954年から73年まで続いた高度経済成長期に建てられた住宅が、築40~60年を経過して老朽化が進み、建替えや解体時期に入っています。
当時は、年間の住宅建設戸数が190万戸にも達した時代で、それらの家を解体する必要に迫られます。わたしが住む都市でも、住宅地を歩いていると、10軒に1、2軒は人の住まない住宅です。
昨年、中央高速と平行して走る甲州街道の街並みは、ほとんど人気のない商店や住宅が延々と続いているのがショックでした。
今、日本社会は、住宅を建設すると同時に、住宅の解体をしなければなりません。自治体によっては、空き家所有者に撤去命令をだす「空き家対策条例」を制定している都市があります。
人口の減少が続く過疎地では、空き家が大きな問題になっています。13年度に全国の空き家数は820万戸にも達しています。
問題は、今後もますます空き家が増えることです。ただ、起業を考える側からしますと、空き家はこれからのビジネスの種です。解体需要は、今後相当数に上りそうです。
全国的には業者数がそれほどいません。今は、許可を持っている解体業者が少なく、解体を巡ってはトラブルも少なくないです。また解体に伴って、新しいビジネスが誕生しつつあります。
家屋の整理をする業者、廃材や家財のリサイクル業者なども今は生まれています。一軒の住宅建設には、たいへんなエネルギーとお金がかかります。解体する際にも、同様にエネルギーもお金も必要です。
東京の西の外れの奥多摩町では現在、空き家が300軒ほどあり、町役場は人口増につなげるために空き家バンク事業や、若者向け住宅の提供などを実施中です。
民間企業が、町内の空き家を会員制の貸し別荘として貸し出しもしています。既に20代から30代に人に人気で、別荘をシェアで利用する人が増えています。
人の住まなくなった空き家は負の遺産です。しかし、処理するにしろ、再活用するにしろ、仕組みと方法によっては新たなビジネスを生むキッカケになります。
空き家問題に対しては、まだ正面から取り組んでいる自治体や会社は少ないのが現状です。壊すのは簡単ですが、個別の再生を考えることによってビジネスチャンスになりそうな気がします。
「転ばぬ先の起業」はここです
【一言】
従来の新築住宅メーカーを中心にしたビジネスから、次第にリフォーム会社に重心が移りつつあります。高齢化が進み、生涯所得が減少しますと、ますます新築からリフォームへ移行は進みそうです。廃棄物を再生させることで、新たなビジネスがこれまでも生まれています。
元気にお過ごしですか。起業アドバイザーの中山おさひろです。
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