初めて起業する人の場合、多くの人は開業日に照準を合わせて準備を始めます。実は、この開業日からの考え方に大きな落とし穴があると思います。
開業は、お客さんが来てくれ、商品やサービスを買ってくれて始まりです。やっとスタート台に立ったとき、気持ちの上では一段落ついた気分では、士気が落ちてしまいます。
現実問題として、こんな相談を寄せてくれた人がいました。具体的な話は書けませんが、地方でキャラクターグッズの製作・販売をする会社を設立したAさんです。
開業前からの営業戦略が功を奏して、周辺の有力文具店との取引が数件始まりました。起業としては上々の滑り出しです。ただ、Aさんの頭の中では、開業までのことしか考えていなかったと言います。
最大の落とし穴は、開業までの資金に関してはよく考えていましたが、開業から入金までのタイムラグに関しては深く計算していなかったことです。通常、対企業向け取引では支払日までに時間がかかります。
決して、Aさんは企業間取引に関して知識がなかったわけではありません。ただ、これまでの従業員としての知識と、経営者の資金繰りではまるで違っています。
経営者は、事業の運転資金を考えないといけませんし、自分の生活費も当然ある程度は必要になります。会社が稼いだ以外に収入はないのですから。
結局、親族を駆け回って資金を借り、何とか資金のショートだけは逃れることができました。それでも、自分の考えの甘さに相当凹んだと言っています。
まさか、自分が資金繰りで駈けずり回ることになるとは、まったく考えていなかったことが起こったからです。しかも、この失敗は、結構尾を引くことがあります。
ビジネスにおいては、取引先からの入金遅れや未回収などということがあります。全ての取引先が初めての取引ですから、不慮の事態が起こらないほうがおかしいとも言えます。
中には、取引先から、「うちと取引する以上、競合会社との取引は止めてください」と念を押されることさえあります。この取引実績を武器に、お客さんを増やそうとする作戦が修正を迫られることもありますから怖いです。
【ひと言】
起業アドバイザーとしては言ってはいけないかも知れませんが、起業は誰もが上手くいくものではありません。経営能力や開業のタイミング、運などが揃う必要があります。ただ闇雲に頑張るだけでなく、引いて自分のやっていることを客観的にみる目も必要です。けっこう、反対方向に向かっていたり、ムダなことに資金や労力を使っていることも多いです。全力で進みながらも、見直すことを何度も繰り返し、成功に近づけていくしかないのが起業です。
起業アドバイザーの中山おさひろです。
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