東商リサーチの調査によりますと、全国約265万社のうち70歳以上の社長が経営する会社は5社に1社。今後、団塊世代の社長が70代に達しますと、この割合はもっと高くなります。
これら高度成長期に創業した会社の多くは、社長を引き継ぐ事業承継者問題で悩んでいます。会社を引き継ぐ人に、相続税や贈与税が重くのしかかるため、結局会社を廃業させる原因にもなっています。
国税庁は、産業界の批判が強いためちまちま特例を小出しにして、カタチだけでも批判をかわそうとしています。ただ、中小企業後継者には、多額の相続税を支払う財力がありません。
未上場企業株に国税は特別な計算式を用意していて、利益水準や企業規模によって、同業の上場企業の株価と連動させて総資産を計算します。この課税対象額の最低ラインが3600万円です。
ちなみに米国では、事業承継のための課税総資産最低限が6億5千万円。英国にいたっては、未上場企業の場合は非課税です。ドイツは、評価額の85%については減額されます。
日本だけが、未上場中小企業の事業承継には高いハードルを設けています。中小から少しでも税金を取ろうとするためか、中小の事業継承を認めないためか、その目的ははっきり説明されていません。
現在のように起業する人が少ないうえに、既存企業の事業承継も少ないままなら、日本から企業がどんどん減少することになります。問題はこの次の展開がどうなるか。
スティーブ・ジョブズが口癖にしていた、「この後のパックの行方はどうなるか?」です。アイスホッケー好きのジョブズが生きていたなら、「企業が大幅に減った後の展開を読めたら、運を味方につけるかも」
【ひと言】
今春の国会で、安倍首相が民進党議員の質問に顔色変える場面がありました。「政治家は世襲した時に、どうして相続税を払わないのか」 やり時は、この質問だけで終えましたが、国民からは昨年も相続税の限度額を引き下げて、広く徴収されているのに、国会議員だけは地盤、カバン、看板と相当額の相続をしているのに、1銭も相続税を支払っていないのは、国民と比べて公平ではありません。これから政治家を目指す若い人と比べもフェアではありません。
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