これまで何かにつけ、アパレル業界の売行き不振は大きな話題になってきました。このたびゾゾタウンが提案したボディサイズの採寸の仕組みは、アパレルに新たな光を当てるスポットライトになりそうです。
従来の採寸方法は、お客さんが店舗に出向きメージャーで身体の各所を測る方法です。男性でも、首回りや股間を測るときはけっこう恥ずかしい思いをするのが、洋服を作る時に行う採寸です。
ゾゾタウンはこの採寸に、センサーとスマホとを活用する新たな方法を採用しました。事前に身体にフィットするセンサー付きスーツを郵送して、そのスーツにスマホをかざすだけでボディサイズの正確な採寸ができます。
お客さんは、お店に行かなくても自宅で詳細な採寸データを作ることができます。その後の注文が楽になるばかりでなく、ゾゾタウンもサイズを知っているので、新たな洋服の提案が可能になります。
注目したいのは、このスマホを活用した新たなビジネスの仕組み作りです。マイケル・ルイスの著書「マネー・ボール」では、ホームランや打率の高い選手よりも、データに基づくチャンスに強い選手を基準にする点に似ています。
また、ビジネスの土壌として圧倒的に不利な、ネット販売の側から新たな提案が多い点も特徴です。制約が多くある会社の方が、有利な側よりもあれこれ深く考え、多くの協力者を味方にしていることもあります。
実店舗での人の手による採寸から、センサーとスマホによる自撮りの採寸に基準を切り替える、仕組みの変化です。このような切り替えは、他の事業においても可能性ではないでしょうか。
【ひと言】
わたしが初めて採寸したのは、22歳の時に小樽で初めて背広を作ったときでした。その時、洋服屋の父親が採寸してくれましたが、やはり恥ずかしいものです。その後も、何度か東京で採寸をしていますが、やはり恥ずかしい思いがありました。女性の人の場合は、もっと恥ずかしいかもしれません。スマホによる方法はなかなかのアイデアで、今後も採寸のブラッシュアップが進みそうです。
