東横インと言うと、今回の不正改造問題が公になるまでは、理想的なビジネスモデルを実現した企業として有名な存在だった。
社長の西田憲正氏は、起業家向けセミナーや講演会などでよく自分自身を見詰めなおす精神論を説いて、カリスマ的な人気を得ていた。
東横インのビジネスモデルとは、一つが素人の女性従業員を中心戦力に据えたホテル運営。もう一つが、ホテルの建物を立地の地主所有のままで建て、東横インが長期リースで借りる方式を取っている。
女性の戦力化については、やっと労働力人口の減少が現実になった、多くの企業が本格的に取り組み出したが、東急インでは、80年代から既に女性の支配人を採用して戦力化を進めていた。
西田氏が、「主婦の素人感覚をホテル営業に取り入れる」と言う表向きの理由の裏には、「女性ならばマネジメント能力が高くても安く雇用できる」と言う理由がある。
また、地主にホテルを建設させて、それをリースする方式は、バブル崩壊以降の土地資産の大幅下落が続いていたときには、地主にとって東横インが救世主のように思えたものだ。ただ、ここにきて地価が上昇線を描き始めると、長期リースに対して二の足を踏む地主も多くなっている。
西田氏は50歳を過ぎてから大学院で経営学修士を取得、東横インの経営のかたわら日大や山口大で講師も務めていて、現代の企業経営では成功者の一人であることは確か。
先の格安マンションにおける耐震設計偽装事件といい、無料ブログで唯一業界トップだったライブドアといい、東横インの格安ビジネスホテルといい、格安とかタダを売り物にしたモノ・サービスに対して、人の好かったわが国消費者の目もそろそろ厳しい視線を向けはじめている。
時代の流れは、格安から適正でリーズナブルな価格へ舵を切りだしている。
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