楽天会長の三木谷浩史さんの新刊書「問題児 三木谷浩史の育ち方」が話題になっています。中学一年生の時、岡山県の私立中学での通信簿を公表しているからで、そこにはクラス40人中39番の成績が記載されています。
三木谷さんというと、一橋大出身のとても優秀で近寄りがたい印象がありましたが、この通信簿をみることで身近に感じる人も増えるのではないかと思いました。
この狙いを考えますと、通信簿を公表することにより海外事業で全滅した楽天の行き詰まりを、国内向けの笑顔戦略に方向転換しようとする、三木谷さん個人の切り替えのようなものを感じます。
これまで楽天社内では、三木谷会長は「ミッキー」の愛称で呼ばれるため努力を重ねていると聞いたことがあります。ただ、社員からは、特に女性社員からあまり好意的にはみられていないようです。
そんな社内外の空気を察し、これまで自分の他人に知られたくない部分を公表することで、親近感をもってもらう思いが通信簿を載せた新刊書には、込められているように思えます。
心理学の世界では「ジョハリの窓」として知られる手法です。自分がどのような人間であるか完全には理解できませんが、自分の「どこかの部分」を人に見てもらうことはできます。
その「どこかの部分」が刺激的であったり、誰もが抱える共通課題であったりすると、人はこれまでになく親近感をもってくれます。楽天が、格安スマホ販売や宅配事業で庶民の顔を知られる必要があるとき、三木谷さんの通信簿は受け入れらるかどうか。
起業する人も、会社を経営する立場になりますと、対顧客向け対従業員向けの顔を持つことになります。自分が、どんな風にみられているか、どんな風にみられたいか、考えることも必要です。
【ひと言】
ジョハリの窓を考えていると思われるのは、タレントや有名人です。自分に起こった出来事や家族の話など、以前は話すことをタブー視していましたが、今は積極的に話すようになりました。そのことで人気を集めることにもなっています。事業経営者にもこの流れは広がるような気がします。