オクスフォード大学の研究者が、現在の日本社会で成り立っている仕事のうち、約半分は今後10年から20年でなくなると発表して大きな話題になりました。
わたしの地元でも危機感をもつ経営者やビジネスマンは多く、現実にAIはどの程度進んでいるのか、プロジェクトを組んで調べることになりました。
そこで得た情報の一部ですが、現在ビジネスで活用されているAI技術はパターン認識といわれる分野です。ビックデータのように何億件以上ものデータを手掛かりに、顕著にみられる傾向を読み解く手法です。
パターン認識の代表例が文字認識、全文検索認識、画像認識、音声認識、指紋認識などです。コンピュータの速度が速いですから、探すキーワードや画像と同じものを瞬時に探し出します。
犯人の顔写真を基に、駅構内や人出の多い通りを歩いている犯人を探し出す技術がその典型です。最近は、がん患者の事例を基に似たような傾向の人のがんを見分けることもします。
これらの技術は、その世界で熟練とかプロといわれる人たちが身に着けている技術。具体的には、放射線科医師、ファンドトレーダー、弁護士、銀行の金融担当者などが該当します。
ただ、このレベルの職業の人をいくら集めても、とても職業の半分まで達することはなさそう。問題となりそうなのは、小売店での商品補充やレジ係、高速道でのトラックドライバーなどです。
現在、企業が実施してる設備投資の大半は省力化機器やシステムの導入です。失業率が3%台とほぼ完全雇用の状態ですから、人の採用にお金をかけるよりは、AIを使った省力化の方が安上がりです。
このような状況をベースに考えますと、AI導入が今後広がっても今の仕事はそうそう減ることはなさそうです。ただ、高度な熟練した仕事に就いている人は早めの転職を勧めます。
また、単純労働や熟練の仕事は減るでしょうが、AIに仕事を命じる方の仕事は今後ますます増えます。今の仕事のどこにAIを活用できるか、考えれる人には仕事も給与も増えそうです。
【ひと言】
AIはパターン認識を除きますと、そのレベルはまだまだ低く業務で使えるレベルまでは時間がかかりそうです。原発廃炉でのロボット活用は大いに期待されましたが、多額の開発資金を使っても結局期待するレベルには達しません。コミュニティー能力がまだまだの状態ですから、過大な根拠のない期待はしない方がよいです。