今後の事業展開を考えるとき、AI(人工知能)をどう活用するのか、経営にとっては大きな課題です。ただ、ほとんどの経営者が、実際のAI利用は漠然としていて、どのようにつながるとよいのか判らないのが現実。
ニューラルネットワークのAI企業を経営している知人によると、設立から1年ほどの会社なのに約200社の大手企業からアプローチがあったといいます。その中で内容のある話になった会社は10社程度。
具体的には、AIを活用して何をしたいのか、またそのためにどのくらいの予算を計上できるのか、既存の会社の仕組みでは、この問題をクリアできる会社は本当に少数のようです。
中小企業がAIを活用する場合はその何倍も難題に思えてきます。ただ、既にAIを活用している中小企業もそこそこあるのはホントです。この仕組みは、会社が既存のソフトウェア導入するときと同じことです。
大手企業の場合、自社だけで活用する目的のAI導入を考えますから、費用はべらぼうに高くなります。その点、中小企業の場合は、汎用ソフトウェアを使いますから安い価格で利用することを可能にしています。
現実に中小企業で今人気なのは、企業の信用調査を行う「アラームボックス」です。このAIソフトが行っているのは、取引先企業の経営状態を定期的にチェックして、貸倒れのリスクを減らすというものです。
取引先の倒産が原因で発生する連鎖倒産は、企業にとって最も警戒の必要なリスク管理です。今は、帝国データバンクや東京商工リサーチなどに加入して調査をしていますが、AIはネットデータを基に調べます。
しかも、格段に料金の安いことが魅力です。このように、中小企業がAIを活用するためには自社のニーズに照準を合わせ、AIベンチャーが提供する汎用サービスを利用するのが賢い方法かと思います。
【ひと言】
AIサービスを積極的に導入しているのが地方銀行。低金利で経営環境の厳しい地銀ですが、先端的な経営をしている地銀の中には、顧客企業向けサービスにAIを活用しています。取引銀行のサービスをチェックすると、その中にはAIサービスも含まれています。ここでも問題となるのは、どんな課題設定をするか、そこが意外と難しいです。