起業の難しさを整理して考えますと、事業を開業し、継続するために次々発生する、問題解決することの難しさです。起業は、ゼロを1や2に変えていく作業ですから、たいへんなエネルギーと能力を必要とします。
次々に発生する問題を解決するわけですから、起業をあまり簡単に考えている人の多くが失敗します。また、他人にばっかり頼って進める起業は、間違いなく躓いて転んでしまいます。
最近、気になっているのは、問題解決する能力の高い人は増えていますが、設定する問題のほうが果たして正しかったのかどうか。解決能力が高くても、問題が的を得ていない場合は失敗につながります。
時代の進歩に伴い、問題解決の方法に関しては、書籍やネットを参考にしてそこそこ解決することは可能です。今は真贋を別にして、借金を踏み倒す方法まで答えを求める時代ですから、解決方法に関しては至れり尽くせりです。
ただ起業を目指す人の中に、問題設定にまで意識の回っている人はあまりいません。これらは重要問題にピンポイントで焦点を当てる方法ではなく、一連の事業の流れのなかで考える問題ですから難しいです。
商品の品質は、お客さんに支持されているのか。従業員の接客によって利益を落としてはいないか。お店の前の通りの人の流れに変化はないかなど、考えられる問題設定は次々生まれてきます。
すると、問題なのは利益を増やすことよりも、まずは集客方法に問題はないか、商品の特長がうまくお客さんに伝わっているかなども問題になります。これら問題設定の力量の差が、経営力の差となって現れます。
起業のときは、このような開業してから発生する問題点を知らずに起業する人がほとんどですから、問題設定は自分で探すしか他にありません。解決にばかり気をとられずに、問題設定に関心を向けてみては?
【ひと言】
日本人の生産性の低さの原因に、モノゴトを複雑に考えすぎる点を上げる人がいます。商品を提供する側の論理に偏った販売をしがちです。どう考えても、米国が日本より生産性が高いとは思いづらいのですが、ITを駆使して手を抜けるところは徹底して手を抜いています。また、人と同じ手法の事業には手を出しません。それだけで、相当に生産性は高まっています。