米朝の首脳会談が開催されるということで、世界の目はシンガポールに向いていますが、その前に開催された今回のG7先進国首脳会談では、大きな荷物を積み残したままで終わりました。
米国・トランプ大統領は、首脳宣言に対し「承認しない」と明言したことです。今回のG7で注目されたのは、今後予想される景気後退に対し、リーマンショックのように各国が足並みを揃え、経済救済のための財政出動ができるかどうかです。
08年のリーマンの時にはロイター通信調べで、米国約25兆円、英国約9兆円、ドイツ約11.2兆円、フランス約5.6兆円、日本は約7.2兆円の緊急出動を行っています。
中国による約57兆円もの財政出動によって、世界経済はリーマンショックから短期間に立ち直りました。また、リーマンショックとは直接関係ないはずの日本経済が、発生源の米国よりも大きく落ち込んだことは記憶すべきです。
このような先進国間の協力体制が、今後は難しくなると予想させるG7会談でした。どこの国も自国の経済立て直しを優先させ、新興国やイタリア、日本など財政状況の厳しい国は、経済再建に時間のかかることを覚悟する必要がありそうです。
企業経営者にとっては、今後の不況到来において公的支援を俟つよりも、自力で不況から立ち直る知恵と勇気が求められるようです。現在の好景気も、官製景気といわれているように疑ってかかる必要ありです。
【ひと言】
米国経済は、好景気が続いている上にトランプ大統領の企業減税が実施されたため、過熱気味ともいわれています。それでも、急激な景気後退が起こったときの対抗手段として、FRBは金利引き上げを続けています。今の日本には、リーマン並みの不況が到来しても、赤字国債をますます積み上げる以外に、まったく手の内がないのが悲しいです。
