せっかく起業したのに、1年ももたずに廃業や倒産する会社が後を絶ちません。当初予定したほどお客さんが集まらず、運転資金も尽きることで撤退することになります。
通常はそれほど単純な撤退ではなく、起業した人によっては営業時間外にアルバイトをしながら、何とか事業を続ける人がいます。少しでも営業しながらチャンスを待つわけですが、事業に人気がないため大きな変化は期待できません。
起業する人には、自分の能力や取り組んでいて事業に対し、疑う気持ちをもつことをお勧めします。どんなに期待できる事業であっても、出店場所やスタッフの対応、開業のタイミングによっては上手くいかないことがあります。
絶対上手くいくことなど、ビジネスの世界では期待する方がムダです。せっかく起業しても上手くいかないことがありますから、その時のために事前に次善の策を考えておくことです。
起業する人の多い米国では、「ピボット」は事業の方向転換としてよく知られた手法。事前に、最初の起業が上手くいかなかったときのために、次につながる情報やデータの収集をしておきます。
バスケットボールのルールで使用される、軸足転換を意味するピボットでまさに主事業を変えることを意味します。起業準備の段階から、この次善策までを考えた上での開業です。
多くの人が起業する国ですから、失敗しないためにあらゆる方策を駆使することを考えています。わが国では、開業する前に失敗した場合のことを考えるのは、潔くないといった思い込みが働きます。
でも、起業においてそんな理想的きれいごとを言ってはいられません。あくまでも、お客さんが望むモノを提供することが目的で、ピボットをするのもお客さんの要望に応えるためです。
【ひと言】
わが国の経営者には、組織のリーダーとしての意識が低いと言われます。目先の問題ばかりに気を取られ、長期的な視点を欠くことがあります。起業するときから、将来起こりそうな問題には、頭を働かせておくこと。そのためには柔らか頭で、誠実であることが第一。やり手で眼を剝くような経営者はドラマには登場しますが、長続きしないタイプの経営者です。