「15年くらい前に当時勤めていた会社の同僚で、パソコン関係の仕事を手取り教えてもらった、大変世話になった人でした。お互いに当時の会社は辞め、その後は年賀状だけのやり取りを続けていた仲です」
共同経営で起業を考えた人は、その元同僚と会って久しぶりに話し込む仲で一緒に起業をする話になったようです。この話をしてくれたSさん、元々起業願望の強い人でしたから直ぐに飛びつきました。
その昔、知人の仕事のやり手ぶりを知っていましたし、資金も次の仕事準備をしていてあまり心配ないということでした。ただ、15年前に会社を辞めてから、彼が具体的にどんな仕事をしていたのか情報はすっぽり抜けています。
結局、2度起業に向け打ち合わせをしましたが、具体的な事業プランを相談することもなく、起業したときのイメージばかりを二人で話し合っただけで、その知人とは連絡が取れなくなったと言います。
別に、金銭的な貸し借りがあったわけではなく、被害などはなかったのですがSさんはショックだったといいます。ぼんやりとした起業が具体化する矢先の話でしたから。
モノゴトに取り組むとき、時間軸を抜きにして考える人は多いです。共同経営をしようとするときには、当然お互いが持ち寄れる能力や資金のすり合わせをする必要があります。
これは共同経営に限った話ではなく、他社と取引を開始するときにも、人を雇うときにも同じことがいえます。騙す気持ちがなくても、勝手に思い込みをすることで、後から嫌な思いをすることがあります。
ビジネスの世界は変化が激しいですから、昔の優秀な人が今も優秀でいる保証は何もありません。大きな失敗にもつながりますから、時間が経過する見えない部分に関しては慎重に考えた方がよいです。
【ひと言】
米国では、資金を貸すとき、スタッフを雇うときなどには、フェースブックやツイッターの相手の発言をチェックすることで、簡易な身辺調査を行っています。日本企業のこのような手法はあまり聞きませんが、面接だけに頼るよりは時間的信頼性が担保できますから有効です。何も対策を考えないで痛い目に遭うよりは、会社経営をする以は細心のチェックは欠かせません。