140対1が競って1が勝つ。山口県周防大島町で行方不明になった2歳児の捜索で、地元の消防や警察など大掛かりな組織捜索に対し、78歳のボランティア男性が勝っていた話題です。
しかも、捜索をはじめて30分で幼児を探したのだから、これは公職が関わる組織捜索の在り方に問題がありそうです。これまで災害による不明者を探す時、多くの制服姿の人たちが一列に並んで探す光景に見慣れてきました。
テレビの画像には、常に並んだ制服姿が長い棒でかき分けながら進む姿を映し出しているけれど、本当に情報化が進んだ今の時代においても最適な方法なのか考える必要があります。
捜索する現場の個々の事情は分かりませんが、隊列を組んで捜索することの効率や、時間の短縮化、従事する人の最小化など検証することなく、災害の捜索となると条件反射で隊列を組んでいるような気がします。
現在は、ほとんど人がスマホを持っていてGPS機能を駆使することが可能です。誰がどのように行動しているか記録することができますし、ドローンを使って空からの捜索も可能になっています。
このような捜索は、どこの組織も常に行っているわけではなく、年に一度、下手をすると数年に一度あるかないかのレベルです。ただ、この種の捜索は生命に関わるケースが多く、発想を大きく変えるには相当な勇気が必要です。
それでも、今回のような事例を謙虚に受けとめ、発想を変えて新たな方法を取り入れる必要がありそうです。特に、行政やそれに関連する仕事には、何も考えずに昔ながらの方法を踏襲している仕事が多くありそう。
企業経営においても、日ごろ当たり前のように行っている業務の中には、何故しているのか分からなくなっている仕事も少なくないはず。140対1の教訓は、そんな何も考えずにしている仕事を今一度考えるきっかけになりそうです。
【ひと言】
先日、小学校の先生から考えることを拒否する生徒が増えている話を聞きました。地元の会社でも、難しいことには参加しない社員が増えていることは、わたしも実感しています。特に組織で行動する仕事においては、考えるだけ無駄という空気も感じます。実際は、発言しやすい組織には、これまでにない発想が生まれるよい土壌になるのですが。