居酒屋は、古くから中高年の開業には人気の業種で、実際に開業する人が多い反面短期間に閉店する人も多い業種とされています。その居酒屋に新たな難題が持ち上がっています。
健康増進法改正案が先月成立し、受動喫煙対策が義務付けられることになりました。居酒屋の主要客は30~50代男性で、その喫煙率は30%を超え各世代で最も高い層です。
店内が禁煙になって、この男性層からそっぽを向かれますと、お店の経営は立ちいかなくなります。とは言っても、法律で強制的に禁煙が義務付けられますと、喫煙の方の入店を断わざるを得なくなります。
そんななか、居酒屋「串カツ田中」の事業展開が注目を集めています。6月1日から全体の9割の店舗で実施した店内禁煙により、既存店売上高は前年同月比で2.9%減と大きく影響を受けました。
客単価も5%減っています。ただ、来店客数は2.2%増加していて店内禁煙で来店客は減るばかりでないことを証明しました。家族連れの客が6%も増えています。
20代の男女グループは1%増、女性やカップル客も1%増でした。喫煙客が減る一方で、PR方法によっては新たな客層を開発するチャンスでもあることを証明しています。
健康増進法改正案では、「個人経営か資本金5000万円以下」で「客席面積100平方メートル以下」の場合、店頭に「喫煙」などと表示すれば、喫煙専用室がなくても喫煙を認めている。
ただ、東京都や千葉市などは、独自の受動喫煙対策を盛り込んだ法案を成立させており、開業する場所によっては政府の法案よりも厳しい内容になっています。喫煙者ばかりをお客さんにするか、ファミリー客を対象にするか、判断の時が迫っています。
【ひと言】
今回の法律改正では、人を雇ってこじんまりと営業している小規模居酒屋が最も大きな影響を受けます。ただ同業者はどちらも同じように来客数に影響がありますから、問題にしたいのは競合するレストランや飲食店でお酒を飲むお客さんの流れです。居酒屋の特性をどう生かすか、独自のたばこ対策を考えるしかないです。