9月になりますと、100年に1度の大不況と言われたリーマンショックの発生から10年になります。現在は世界同時好景気の最中で、日本の大企業の多くが過去最高利益を記録しています。
この好景気はいつまで続くのか、不安を感じている人も少なくありません。日本経済のけん引役と言いますと、トヨタ、ホンダ、スズキなど自動車産業の他に、マザーマシンと言われる工作機械と半導体製造装置です。
そして、電機、機械産業向け各種部品製造も大きな柱を形成しています。ただ、米中間の貿易戦争は第二ラウンドの泥沼に入りこみ、自動車業界には影響が忍び込みはじめています。
これまで右肩上がりの成長を続けてきた半導体産業は、4-6月期に横ばいとなり6月単月は0.8%のマイナスです。中国の爆買いで売れ続けてきた工作機械も、今は5カ月連続で前年割れが続いています。
一方、トルコ、アルゼンチン、ブラジルなど新興国の通貨安は一時の緊張感は薄らいでいますが、相変わらず米国の金利次第で厳しい環境に落ち込みます。世界各国に、景気後退の原因となる火種は燻っています。
以前から指摘してきました、米ドルの金利問題が再び危険水域に入り始めています。長期金利と短期金利との金利差が逆転する、逆イールドカーブがこのところ急激な動きを見せているからです。
問題になっているのは、米国長短国債金利が逆転することでFRB(中央銀行)が長期金利を引き上げて正常な状態に戻そうとするためです。過去にも、2000年前後の米国ITバブルの前にも金利逆転がありました。
05年12月から07年6月の時は、リーマンショックの引き金を引くきっかけとなる金利逆転が起きています。今では、投資家の多くが金利逆転の近く起こることに怯えています。
わたしが収集しているデータでも、今年5月18日の米2年物金利は2.59%、10年物は3.11%でその差は0.52%もありました。それが8月24日には、2年物2.62%、10年物2.81で差は0.19%まで縮まっています。
現在のところどのデータをみましても、世界経済の流れは好況から不況へと大きく舵を切っています。本当に不況が来る前に、今から不況対策を考える必要があると考えています。
【ひと言】
残念ながら世界第三位を誇る日本経済は、世界からみると蚊帳の外です。現在の長期金利はほぼ0.1%前後、その上巨額の財政赤字を抱えていますから、好況の時にはほとんど問題になりませんが、リーマンの時のような不況が押し寄せると、最も影響を受けることが常態化しています。日本と同時に世界の景気の動きを注視していないと、経済音痴になりかねません。