再び、大規模詐欺に発展しそうな事件が表面化しました。株式会社 ケフィア事業振興会は9月3日、破産手続の開始を裁判所に提出して大掛かりなビジネス詐欺の実態が明らかになります。
ケフィアという会社は、1993年にヨーグルトの種菌を普及させる目的で設立されたようです。主に、健康増進を目的とした加工食品を通信販売していて、ほとんど目立つことのない小規模な会社でした。
その会社が2009年から徐々に軸足を、加工食品製造事業へのオーナー募集へと姿を変えていきます。1口5万円を出資すると、7カ月後には額面が5万4千円になって返済可能な仕組みです。
加工事業とは、干し柿製造、ジュース、メープルシロップ、ヨーグルト、豆乳など20種にも及んでいます。出資金に2度、3度と年率10%近い金利がつきますと、超低金利の現代ですからオーナーは出資金をどんどん増やします。
その結果、17年度のケフィアグループの売上高は、約1004億円にも達し中堅企業並みの規模まで拡大しました。会員の出資金が増えますと、その分支払い金利も増え続けます。
その間、秋葉原に近い場所に自社ビルを取得しますが、17年夏から会員向けの支払いが滞りはじめ、11月には完全に支払いをストップしていました。この種の出資金詐欺事件によくあるように、自転車操業の資金の流れが途絶えたようです。
このような事件があるたびに、中高年の開業希望者が被害に遭うことがよくあります。資金を準備したけれど直ぐに開業とはいかないため、その間に少しでも資金を増やそうと出資して事件に巻き込まれるケースです。
特に、加工食品製造事業のオーナー募集という言葉に、起業を考えている中高年は関心と利息収入に引かれて手を出すようです。安易な金儲けは、いつの時代も危険がいっぱいです。
【ひと言】
以前聞いた話ですが、このような詐欺を働く人間は、古くはねずみ講や1980年代の偽の金塊売買で資金を集めた豊田商事事件に関わった人間やその弟子が、ノウハウを伝授することで続くようです。10年くらいの間隔で数百億円以上の詐欺事件は起こります。特に今は低金利の時代ですから、引っかかる人間が絶えません。