最近、パン屋さんの中には2斤で1000円という高額パンを売り出すお店が増えています。普通、スーパーなどでは1斤を120円から200円程度で売っていますから、かなり強気のビジネスです。
パンのように継続的に毎日食べる商品は、安定的価格帯でなければ売れないというのが、これまでの業界の一般的発想でした。それを倍以上の価格で売るとなると、お客さんの側に発想の転換が必要です。
よく考えてみると、毎日パンを食べることは習慣化されていて、そこで食べるパンの種類に関しては時々変わるという人は多いようです。そう考えると高額パンの需要も想像以上にあるようです。
またパンを他人への贈り物として使う人も少なからずいるようです。もともと1000円パンは、競合するお店の少ない商品ですから、販売方法によっては新たな需要を掘り起こすことは可能です。
一方、1000円パンを製造するお店の側はそう簡単にはいかないようです。販売に当たってお客さんに対しどう説得するのか、これはけっこう難しい問題を含んでいます。
高い価格を設定することは簡単ですが、お客さんに高い価格を納得してもらうのは簡単ではありません。しかもお客さんの「美味しい」の一言だけではなく、「また食べたい」まで引き出すわけですから。
味の世界は理屈ではなく、再度足を運んでもらわなければなりませんから、このハードルは机に向かって考えるのと違って難しいです。高額パンを、他の商品に置き換えて考えてみることも、価値はありそうです。
【ひと言】
今は、デフレ経済からくる価格の安いもの比べの時代ではないので、高い価格設定をしても売れるものは売れます。ただ、どの商品なら高くても売れるのか、品質重視で価格には目を瞑ってもらえるか、定まった法則や定義があるわけではありません。販売する場所によって、高価格品の売れ行きは大きく変わります。この見極めは難しそうです。
