今の経済環境は、人手不足が慢性化していながら、売上げもそこそこ上昇傾向が続いていることで、好景気の範疇に入るのでしょう。人によっては、安倍政権の経済運営が成功しているという人がいます。
また、世界的な好景気の波に乗っているだけという人もいます。そんな好景気気配の中、これまで商品やサービスの価格引き上げには慎重だった経営者が、昨年辺りから徐々に引き上げに舵を切り始めています。
価格引き上げで注目を集めているのは焼き鳥の鳥貴族。これまで競合店が相次いで値上げをするなか、全品280円の均一料金を守り続け営業増益を長く続けてきた会社です。
その鳥貴族が昨年10月、食材や人件費の引き上げを理由に280円を298円に変更しました。途端に、18年7月期は前期比の純利益ベースで3割減の大幅減益です。この8月まで9カ月連続でマイナスが続いています。
一方、日本マクドナルドの値上げは、午後5時以降の時間帯はパティ2倍で100円アップの「夜マック」です。18年4-6月期は8.9%のプラスを記録して数年前の低迷から完全に抜け出しました。
この差は何でしょうか。鳥貴族は焼き鳥を焼いているオヤジが一方的に、「今日から18円値上げして298円だよ」と言ってる感じ。近年、鳥貴族は家族連れ顧客の集客の焦点を合わせていましたから、額の小さい値上げでも影響は大きかったようです。
反対にマクドナルドは、接客のお姉さんが申し訳なさそうに値上げの理由を説明するイメージがあります。ただの値上げではなく、お客さんにもお得感が伝わる説得力を持っています。
焼き鳥がメインの単品商品を扱う鳥貴族と、扱い商品がバラエティーに富むマクドナルドでは、値上げから受けるインパクトも違ったものになります。ただ、小資本のビジネスでは、値上げは命取りにもなる大問題ですから、安易に考えないことです。
【ひと言】
日本の経済成長率(GDP)は成長していますから景気は上向きです。ただ、この好景気を安倍内閣の経済政策が上手くいっているという見方と、単に世界の好景気の波に乗っているだけという見方と二方向に分かれます。本格的好景気なら価格引き上げも可能でしょうが、実体を伴わない好景気なら引き上げが原因で、会社が存亡の危機に陥ることもありますから怖いことです。