BBCやニューヨークタイムズなど、欧米メディアで最近取り上げられることが多いギグエコノミー。会社など組織には所属しないで、単発の仕事を請け負うことを生業とする働き方をする人。
その内容は、日本政府が新たな働き方改革の一環として勧めているフリーランスとほぼ同じです。欧米においては、国民生活の格差を助長し、貧困の原因にもなる働き方と言われるようになりました。
考えてみますと、わが国に労働者派遣法が導入された1986年以降、自由な働き方ができて選択が広がるとか、自分の時間を最大限生かせる働き方が可能などと喧伝されていました。
現実には、団塊ジュニアと言われる1870年代生まれの人たちが、就職氷河期の90年代後半には大量の派遣社員を生む結果になっています。この世代の人たちは中高年になると、資産や退職金から見放されることになると言われます。
国民に寄り添う政府などと言いながら、官僚や政治家が判断する政策は往々にして国民を誤った方向に導きます。会社を辞めフリータンスを選択したところが、その後にたいへんな苦労が待っていたなんてことがありそうです。
現在の日本は、正体不明の好景気に浮かれ多くの国民が警戒心を忘れています。1000兆円を軽く超える借金を抱えるこの国では、下手をすると今の浮かれ気分が歴史的に最後高揚気分なんてことにもなりかねません。
ギグエコノミーやフリーランスで自由を謳歌できる労働者は、宝くじで1等や2等に当たるのと同じくらい難しいこと。よっぽど恵まれた人でない限り、社員からフリーランスへの乗り換えなど冒険心は冒さない方がよいです。
ギグエコノミーの環境を整えている欧米でさえ貧困の原因とされているのに、まったく環境整備のされていない日本でこのビジネスは厳しすぎます。
【ひと言】
長年、自営業で仕事をしてきたわたしからすると、会社勤めをすることで有形無形の恩恵を受けることができます。特に、ビジネスには欠かせない最新のスキルを、会社で働いていると簡単に身に付けることができること。フリーランスがスキルを身に付けるとなると、驚くほど高額の費用がかかることはあまり知られていません。