これまで経営の世界では顧客第一主義と訳されてきた、お客さんの要望を最優先に考えるビジネススタイルの風向きが変わってきています。決してお客さんに代わる新たな主人役を見つけたわけではありません。
同じお客さんといっても、将来上得意になってもらえるお客さんと、大切にしてもムダと思われる人とを区別する流れが生れています。この流れは大きな課題なのでまた改めて書いてみようと思います。
企業経営をしていると、売り上げが上がらないとどうしても対象の客層を広げ、間口を広げることでお客さんが増えると思い込みます。子供から中高年まで、女性も男性も、日本人も来日客も広げることで売れると思いがち。
現実は、間口を広げることで、広告宣伝の声が拡散して上手く対象の人に届きません。とても勇気が必要ですが、商品を購入してくれる、本当に必要な人まで声を届かせるには知恵が必要です。
そこで考えを巡らせたいのが、顧客ターゲットと対になるニッチ市場の存在です。小企業を起業して、息の長い事業を行おうとするならニッチ市場を探すことは欠かせません。
ただ独立したニッチ市場が存在しているわけではなく、既に存在している大きな市場から派生するカタチでニッチが生まれます。まず既存事業から参入する市場を探し、その市場の中のニッチのニーズを探す手順なのでは。
その時には、顧客ターゲットも絞り込みやすくなると思います。中堅・大手企業とは違い、そんな大きな市場である必要がないので、小企業にも生き延びことが可能になります。
ここでポイントとなるのは、これから参入する事業の業界事情をよく理解していること。よく知らない事業でニッチを探すことは難しいです。また、将来大きくなりそうなニッチも、大手参入を招くことになるので微妙な問題です。
【ひと言】
ニッチ市場というと業界動向ばかりに目が行きますが、意外としっかりしたビジネスをしているのが地域におけるニッチです。地方で出店の場合には、周辺に同業者がいない、いたとしても主力商品ばかりを扱っていて、関連商品には競合店がないといったケースもあります。東京・中野でのニッチ漫画、西荻・骨董品など、地域ぐるみのニッチ市場もありそうです。