日本経済新聞の調べによりますと、18年3-8月期外食大手8社の業績は、全ての会社が減益になってしまいました。吉野家、ドトールコーヒー、壱番屋、ハイデイ日高など全て優良企業ばかりです。
中でも、リンガーハットは59%の減益になり、吉野家やプレナスは赤字に転落しました。大手の2、3社が減益になることはこれまでもよくありましたが、全ての企業の減益は珍しい現象です。
その背景にあるのは人手不足からくる人件費の上昇です。リクルートジョブズの調査では、9月時点のバイト・パート募集時平均時給は1036円。同業のパーソルキャリアは1042円と過去最高を更新中です。
しかも人手不足は企業経営に影を落としていて、東商リサーチによると1-9月期は299件の企業倒産まで生んでいます。この調子では、年間400件を越し最近5年では最高の倒産件数になりそうです。
倒産するどこの会社も、従業員が集まらないために事業が続けられないとか、人件費が高騰しているために会社の資金繰りが厳しくなり、経営が行き詰るケースが多いようです。
そのうえ経営者の頭を悩ませるのが、日本経済全体が不況色を濃くしていることです。これまでは人手不足が起こったとしても、その後に不況が到来して会社側による人材の買い手市場になっていました。
もしこの後に不況になったとしても、この国の人手不足が解消されることはないと言う専門家がいます。こればかりは、到来する不況の規模によって人手不足は変化しますから、今から判断するのは簡単ではありません。
ただ、これから起業する人も、人手不足を解消するためのアイデアを考えないと、「開業しました」「人手が不足です」「残念ながら閉店するしかありません」の流れに飲み込まれることにもなります。
【ひと言】
以前は仕事のできる人が起業すると、よほどコミュニケーション能力が劣っていない限り失敗はしませんでした。現在は、飛び抜けて仕事のできる人より、従業員とお客さん、取引先とコミュニケーション能力の優れている人の方が成功確率は高いです。社長が100%の仕事をするより、従業員2人が60%の仕事をすることで社長を上回ります。その後は従業員を3人、4人と増やすことで起業の将来は明るくなります。