1987年10月19日は、ニューヨーク株式市場でダウ工業株が大暴落した日。この日一日で508ドル、22.6%のマイナスを記録した一日でした。
この時期日本は85年プラザ合意により円高が急激に進行、バブル経済に突き進んでいました。米国は、70年代レーガノミックスで高金利政策をとっていたため、資金の多くが債券に回り株価は低迷していました。
その後にドル金利引き上げ規制があり、資金が債券から株式に流れを変え、株価上昇が急激に続いた結果の後の大暴落です。土地、株式、住宅、絵画など、投機する購入者の期待が膨らみ過ぎ、行き詰ってバブルは崩壊します。
世界はその後も97年7月にアジア通貨危機を経験。こちらは対米輸出を活発化させていたタイ、マレーシア、インドネシア、香港、韓国など東南アジア各国が、自国通貨の為替レートを米ドルに固定化させていたため、ヘッジファンドによる空売りを浴びせられて発生しました。
この時日本は、あまり影響はなくアジア各国の資金救済をする側と思われていました。しかし、バブル処理がほとんど進んでいなかったために、不良債権を大量に抱える、金融機関、不動産会社などで大型倒産が相次ぎました。
次で2008年9月15日のリーマンショックです。米国の金融機関が行っていたサブプライム住宅ローンによって、返済信用度の低い人たちに貸し出した資金が次々に貸し倒れを起こし、世界の金融機関を巻き込んだ大不況に発展しました。
この大不況を並べてみますと、教訓となることが2点あると思います。1つ目は、その発生原因に定型的な仕組みはないこと。FRBによる金融政策であったり、ヘッジファンド、金融機関の貸し出し方法とばらばらです。
2つ目は、ほぼ10年周期で大不況は発生していること。最近言われているのは、このような金融システムを崩壊させかねない事態が発生すると、各国金融当局と中央銀行は国を挙げて救済策を実行します。
これまで多くは、金融緩和と市場への資金投入です。その多額の資金が市場に留まったままで、新たな金融システム崩壊の原因となっていることです。そのため10年ごとに、多様な原因から大不況は発生します。
今後、日本の場合を考えますと、金利を下げることも、大量の資金を投入することも、財務省、日銀にはムリです。アベノミクスは、今後起動できる金融政策を先取りしているだけなので、異次元の対策などもう無理。
国民がどう自分なりの対策を考えるかはとても難しい問題です。もしこれまでの流れを信用するなら、背伸びをして今後の不況に対応できない投資はしないこと。景気は順調といわれる中、国内も海外も難しい局面にあることは確かです。
【ひと言】
大不況が起こりますと、現代も90年前の大恐慌の時も、株式相場が大幅に下落することが共通点です。しかも、先日の3%や4%の下落ではなく、10%や20%といった大幅な暴落が合図です。株式が景気の先行指標と言われる所以です。これまで、3度大不況を経験していますが、それはそれは大変な出来事です。