「わたしが行った起業は成功でしょうか?」 今年の春、介護関連のビジネスで起業した女性からこう質問され、何を基準に成功、失敗を判断するとよいのか悩んだことがあります。
一般的には、儲かっているかどうかが判断基準になるのでしょうが、常に儲かっている会社などはあり得ません。特に開業したての段階では、多くの会社はいつ廃業してもおかしくない状態です。
現在、儲かっている会社の代表格ともいえるアップルやグーグルでも、設立当初は長い赤字期間に苦しんでいます。普通ならとっくに止めている起業でしたが、エンジェルと呼ばれる根気のよい投資家たちに助けられ続けていました。
その後黒字化してからも、何度か危機に襲われています。結局、起業家や経営者にとって、岸から飛び込んで海中を泳ぎ続けている間は成功であり、疲労困憊で泳ぎを止め岸に上陸したら失敗ということです。
暴風雨や高い波に襲われることがあっても、泳ぎ続けるのが起業家や経営者ということになります。やはり、安易な気持ちでビジネスの成功や失敗という言葉は使うべきではないと思います。
起業やビジネスには、儲かるという基準の他に「やりがい」という基準があります。あなたのビジネスによって助けられたり、喜んでもらえる人が増えることは、儲けること以上の大きな励みになります。
「どうしたらお客さんに少しでも喜んでもらえるか」を考えることの方が、ビジネスに関わる人間としては大事なことです。泳いでいる最中に、「自分は何故泳いでる?」なんて考えるのは溺れる最大の理由です。
【ひと言】
今から10年以上前、起業する人を応援する目的で始めた書き込みですが、最近は企業経営や会社勤めで悩んでいる人が多くなってきました。そのため、起業家向けばかりでなく広く経営に関わろうとする向けに視野を広げています。特に、現在のように日本経済が下降を始めている時は、慌てて起業するよりも力を蓄える方が大事と思います。