2月15日大阪高裁は、大学でアルバイトとして働く女性に対し、これまでゼロだったボーナスの支給を大学側に命じました。バイトに対しては、ボーナス支給の習慣がなかったわが国では画期的な判断です。
この大学では多数のバイトを抱えていますから、上告して最高裁の判断を仰ぐことになると思います。ボーナスだけでなく、有給休暇の取得も今後問題視されていますから、雇用する側には大きな経営課題が発生することになりそうです。
2020年からは、同一労働同一賃金の制度が大企業と中小企業でもスタートします。これまで、正社員と非正規社員の間に賃金格差がありましたが、これからはこの格差を解消する必要があります。
20年以降は、労働者の働き方が大きく変わります。一つは、低い賃金で働かせることを認めない狙いがあり、もう一つは、残業や休暇に関し労働者側の立場に立った要求が認められます。
日本政府は長いこと、ILO(国際労働機関)の雇用及び職業における差別待遇禁止条約を批准していませんでした。この条約を批准するためには、労働条件の大きな転換を進める必要があります。
今後、バイトのボーナス、同一労働同一賃金、休暇、残業時間などの罰則規定が適用されるようになると、事業を継続することのできない会社が増えそうです。日本経済の足を引っ張っていると言われるゾンビ企業が淘汰される可能性が高いです。
過ってわが国に乱立していた消費者金融会社は、貸出金利を法定内に是正することで多くの会社が姿を消しました。過払金返還が実行されたのと同じような流れが、労働法制にも起こる可能性があります。
ビジネスの今後は、利益幅が大きくないと人件費の比率が高くなるため、継続するのは難しくなるのではないかとわたしは予想しています。この変化をどうこれからのビジネスに生かすか、事業の成否を分けるように感じています。
【ひと言】
これまで、日本人が感じている世界でのビジネスの順位と、國際機関が発表するビジネスランキングとの間に大きな格差があります。労働生産性、男女平等ランク、労働時間ランク、平均年収ランクなど、先進国で日本は大半が下位の状態です。今回の働き方と同じように、国際標準で見た時に日本は驚くほど対応が遅れています。不況や大災害が続いていることで、世界のレベルからは酷く遅れてしまいました。
