今の時代はビジネスにおいて回答を探すよりも、その前段の問題設定の方が格段に重要です。同じ小企業の似たような課題なのに、まったく違った方向に向かう、2つ以上の問題設定が考えられるケースがあります。
A社は昨年から急に売れだした商品があって、現在の3人のスタッフで処理するには、限界が近づいているというようなケースです。
このような場合、いくつかの問題設定が考えられます。「スタッフを急いで1人か2人増やすべきか?」「売れている商品の販売方法を手短に簡単にする方法はないか?」
「対応する省力機器を導入することで、仕事量を少しでも減らすことはできないか?」など、同じ課題に対する対応にしても、いくつかの問題設定が可能で、この設定が大事なキーポイントになります。
今は多くの企業にとって緊急課題は生産性を上げることですから、スタッフを増やすことは逆行することにもなります。労働生産性は、売上高÷スタッフ数で簡略に現せますから、小企業にとって分母が1増えることは重荷です。
また、人手に関する急激な変化も課題解決の新たな足かせになりつつあります。失業率の高い地域ならば人を増やす選択肢も考えられましたが、多くの地域で簡単には人が集まりません。
一方、問題設定を行うことは、どのような回答を必要としているのか、併せて考える必要があるため、最新のビジネスにおいて難しくなってきています。答えを出すことが楽になっている反面、最適な問題を考えることは難しいのです。
起業でも事業でも、次々に押し寄せる課題を考えていく必要があります。このような経験を積み重ねることによって、ビジネスに対する技術レベルを高めていくことが将来に向け役立ちます。
【ひと言】
設問と回答とを比べ、どちらが重要かを考えるきっかけがありました。セミナー方式でビジネスを話すときと、アクティブラーニングでビジネスを考えたときでは、話の広がりも参加者の頭の働きもまるっきり違います。グループの話し合いによってビジネスに取り組んでみて、初めて設問の重要性に気付かされることは多いです。