前回、経営環境の急変に苦しむ「鳥貴族」を取り上げましたので、今回は同じ居酒屋でも好調の「串カツ田中」に焦点を当てます。こちらもフランチャイズを採用していて、FC店55:直営店45の割合い。
串カツ田中の売上げは18年11月期で76億円ですから、鳥貴族の18年7月期339億円と比べますと、5分の1弱の規模です。串カツは大阪で人気の食材のため、東京を中心に大阪を除く各地に出店してきました。
その歴史も、鳥貴族が1986年から32年間の歴史に対し、2008年に一号店を世田谷に出してほぼ10年を過ぎたところです。串カツ田中を有名にしたのは16年のプレミアムフライデー。
串カツの「フライ」にかけたジャダレで、「フライイングフライデー」と銘打って施行する1月前から各店がキャンペーンを始め、マスコミに大きく取り上げられました。串カツ田中名称もこの時に知られることになります。
18年6月からは、串カツ田中全店で禁煙を実施して話題を集めています。事前に心配されたアルコール好きの常連客離れよりも、新たな家族連れのお客さんが増えていることが原因です。
今は、事業規模が鳥貴族よりも小さく、事業年数が少ないこともあって、大きな失敗を仕出かすことはまだないです。ただ、安易に事業規模を拡大しようとする姿勢は同じです。
全国で1000店体制を目標としていて、15年の94店から、16年131店(+37)、17年166店(+35)、18年218店(+52)と急激な店舗拡大を続けていることです。
16年には110人だった従業員が、18年末には関連会社も含めて280人ですから、どこかに支障が起こっていることは予測されます。過去に急成長で失敗しなかった会社はほとんどありません。
企業は勢いのあるときに成長させろとは、ITが普及していない昔の話。今は、企業の持続性が第一に問われる時代ですから、安易な成長よりも息の長い成長を考えるべきでは。
【ひと言】
日本人創業者としては最も成功した人の一人、日本電産の永守重信さんが京大生を前にして、「何でうちの会社がこんなに大きくなったか分かるか? 君らみたいなエリートが来ないおかげや」 トランプ氏が米大統領になり、大震災が続く今の時代、受験勉強のように安易に成功の答えを出さず、以前の成功を疑る気持ちがこれからの成功には欠かせません。


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