「ふるさと納税」にしっかり取り組んだ自治体が、多額の税金を集め過ぎると国の地方交付税を減額される。後から出てきたこのペナルティー制度が、地方財政に複雑な影を落としています。
この納税の発端は、人口減少の続く地方自治体の財政を立て直すため、住居を移した自治体出身者が税金をふるさとに収めて、少しでも役に立ててもらうことを目的としていました。
ただこの制度は、初期段階で大きな問題が既にはらんでいました。本人は税金をふるさとに収めるとしても、本人が受取る公共サービスは現在住んでいる自治体から提供を受けています。
この仕組み、利用者が少数ですとそれほど問題になりませんが、減少する税収が数十億円にも達すると住んでる自治体はお手上げです。川崎市42億円減、世田谷区40億円減、港区31億円減がワースト3です。
年を追うごとに税金を受け取る側の自治体からのプレゼントは豪華になり、それに反比例するカタチで、納税者にサービスだけ提供している自治体の税収不足は深刻になっています。
一見とても美談に思えるふるさと納税ですが、その本質は高額納税者だけの節税に加担する仕組みが隠れています。財政の専門家の中には、「この国の歴史に残る最悪の制度」という人がいるほどです。
ビジネスにおいても似たようなケースはありますが、最初の制度設計の段階で大きな欠陥を見落としていることです。企業ですと、このような仕組みで事業を進めますと会社が破たんする原因にもなります。
安倍首相が始めた制度ということで、八方から不満が噴出していても止めるに止められないようです。つくづく、最初の制度設計の誤りには注意をしなくてはいけません。
【ひと言】
このところ米国の株価暴落、中国経済の落ち込みなど、日本経済に大きな影響を及ぼす米中が不振です。日本はアベノミクスによって順調かといいますと、過去6年間毎年32兆円の赤字国債の発行が続き、実体は好景気を国債発行と引き換えに買っているようなもの。いつまでもこんな景気が続くわけもなく、どこかで経済の実態を知った時この国はどうなるのか・・・
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