日本経済にとって起業が欠かせないことは、10年以上前から何度も何度も叫ばれてきたことです。新しい血をこの国の経済に注入しないことには、年老いた企業ばかりになりやがては寿命が尽きます。
調査機関GEMの最新の発表によりますと、2001年から17年の間に起業した人は、100人当たりで中国が14.9人、米国が11.4人、日本は3.7人です。
起業が難しいとか簡単とかいう前に、この国では起業する人が圧倒的に少ないことが判ります。起業経験者が少ないことで、日本には起業に関するノウハウやスキルが蓄積されず、大半は米国からの借り物の知識だけです。
起業する人が少ないことで、新たなビジネス同士の競合は一部の業種を除くとあまりありません。しっかり事前準備やマーケティングをしている人は、短期的には失敗する人も少ないです。
次期1万円札の肖像に渋沢栄一が登場することが決まったことで、起業に対し関心の高まることが期待されます。日本社会は昔から、起業家や事業家に対し冷たい社会です。
利益を上げる人に対し卑しい人と見下す風潮があります。官僚や政治家から見ると、日々の資金繰りに汲々としている事業家は、愚かで卑しい人間と明治の昔から言われ続けてきました。
ただ、国家や自治体を運営するために費やす資金は、大半が企業利益や人件費を介して徴収される税金によって運営されています。その企業ですが、いつまでもトヨタ、日立、NTTでは日本の将来はありません。
誰もが起業して成功するわけではありませんが、自分の生い立ちや身の回りを見渡して起業を考える価値はあります。日ごろの仕事の中に起業マインドを生かす手もあります。そこから実際の起業を考えても遅くはありません。
【ひと言】
日本では起業をかんがえるとき、まず一人で立ち上げることが一般的です。現代世界の起業は、複数の人間が集まって起業することが標準になっています。これはビジネスに限らず、スポーツにしろ、芸能にしろ、学術研究にしろ、多様な知恵を集め集団で考えることが、成功に結び付くことに由来しています。共同経営という方法も一考の余地があります。
