起業に対し関心のある人の話を聞くと、10人中7、8人は成功するか失敗に終わるか、この一点に関心が集まります。ただ起業はビジネスですから、サイコロを使っての丁半博打とは違います。
10数年前、全国で大流行した「白いたい焼き」のように、半年程度は流行っても、その後ぱったりと売れなくなるのは成功とは言いません。起業を行う以上、持続性のない事業をしても成功にはなりません。
もう一つ、日本人の起業観で大きな勘違いと思われるのが「日本は起業をするのに難しい社会」 他国と比べると、日本は起業をしても失敗することが多い国と思い込んでいる人が多くいます。
起業学の専門家で武蔵大学の高橋徳行先生が、日本、米国、中国の3カ国を対象に、2001年から17年まで成人100人当たりの起業活動に関して、GEMの調査を基にした分析をしています。
それによりますと、起業準備をしている人が実際に起業を実現した比率は、中国29.5%、米国17.7%に対し、日本は20.1%と決して低いわけではありません。
問題なのは、起業準備を始める人が、中国14.9人、米国11.4人に対し、日本は3.7人しかいないこと。実際、わたしの実感では、しっかりした準備をしないまま、いきなり起業する人が少なからずいます。
早い話が、起業自爆とでも言えるような、後先のことをまったく考えない行為です。特に、フランチャイズ加盟で開業をする人には、ビジネススキルをまったく無視している人も多数います。
この背景にあるのは、人の職業の選択の中に起業があることを意識する社会と、まったく考えられない社会の違いです。残念ながら米国54%、中国35%の中で、日本では12%しか起業を意識する人がいません。
結局、起業を意識する人のいない社会は、ビジネススキルが低いですし、生産性、リーダーシップ、ビジネスアイデアが生まれづらい社会です。それは現在の日本社会の姿でもあります。
それでも最近は、定年近くなった50代、60代の人に起業に関する意識が高くなっています。いきなり起業に向かうよりも、まず起業意識とビジネススキルとを高め、自分の土俵を作った上で起業を考えてみては?
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【ひと言】
事業とは宗教みたいなものと言う人がいましたが、素晴らしい事業をしている経営者と話していると、確かに教祖に似ていると思います。社員や顧客は、この人の事業をつぶすわけにはいかないと本気で思い込ませる力があります。ビジョンやミッションには、そんな約束の言葉となる力を秘めています。
