内閣府は3月の景気動向指数の状態を「悪化」としました。昨年後半から景気は下降が続いていましたが、2015年を100Pとする指数では、3月が99.6Pとなり基準値100Pを下回っています。
この指数には、米中間の関税引き上げの影響が含まれていません。今後引き上げによって価格へ転化されますと、日本企業への影響は及ぶと考えられます。一層の悪化は避けられません。
問題は日本経済がこれからどう展開するかです。消費者は、今後の景気悪化を警戒して購買意欲が徐々に落ちます。企業は設備投資意欲が強かったですが、計画を中止するケースが増えそうです。
従来ですと、日銀の金利引き下げによる需要喚起をするところですが、現在はゼロ金利ですので緩和の余地がなくなっています。政府が消費増税を止め、景気刺激のための追加予算を組むことも考えられます。
東京五輪向け需要もそろそろ種切れになくなる時期ですから、日本経済は過っての金融危機やリーマンショック級の景気後退を覚悟する必要がありそうです。
ただ、庶民生活は給与も上がらず元々が厳しい状態が続いていましたから、それほど大きな変化はないと思います。多くの企業で人手不足が深刻でしたから、不足が緩和するきっかけにはなりそうです。
問題は不況によって、倒産する企業が非常に多くなることが予想されることです。中小企業の場合、これまで資金面で支援してくれた金融機関が弱体化しているため、以前のように助けてはくれないことです。
また、現在は経営状態の悪い企業が営業を続けているケースが多数あります。これらの会社は、不況の到来によって簡単に倒産する心配があります。その企業数が多い場合、やはり経済には大きな混乱要因となるはずです。
起業する側から考えますと、このような会社の清算が進むということは、新たな会社にとっては追い風となるはずです。不況が始まるというだけで、決して委縮することはありません。
【ひと言】
最近は、日本社会に「ピンチはチャンス」の意識が根付いてきて、不況が決して悪いことばかりではないことが知られるようになりました。特に弱小企業にとっては不況が来ることによって、能力のない経営者の会社、経営状態の悪い会社、ブラック企業など淘汰されますから、しっかり頑張っているとチャンスがきます。