全国的には馴染みがないかも知れませんが、首都圏に住んでいると立ち食いそばの「ゆで太郎」と「富士そば」はよく知られている両雄です。来日外国人にもこの両者は人気と言われるほどです。
単に同業の2社と言うだけでなく、これら会社を通じてビジネスモデルの事業展開の方法を知ることができるからです。「富士そば」は、古くから駅前に出店している立ち食いそばの老舗店舗。
創業者丹道夫さんの考え出した駅前の最適ロケーションに出店して、お客さんに利便性をアピールする手法は現在も最強です。一方「ゆで太郎」は、利便性では敵わないので味で勝負を仕掛けました。
「富士そば」が、工場から茹でたそばを配送する方式なのに対し、「ゆで太郎」はお店で一日2回製麵する方式を採用しています。これは都内の老舗蕎麦店と同じで、便利よりも味の良さでお客さんを集めています。
今年で創業から47年を数える「富士そば」に対し、まだ15年の「ゆで太郎」が勝負を挑むには味を選びました。製造原価は高くなりますが、駅前店舗の高い賃貸料を考えると見識のある判断です。
もう一つ「ゆで太郎」が採用している武器は、スタッフにシニア人材を積極的に採用していること。ほとんどの店舗のスタッフは、60代、70代のシニア層が主力メンバーとして仕事をしています。
店舗数でも、「富士そば」が132店なのに対し、「ゆで太郎」は直営78店、フランチャイズ店72店と頭一つ抜けています。資金力の不足をフランチャイズによってカバーしているカタチ。
現在のところ、人手不足問題も、トラック配送問題でも、「ゆで太郎」が有利に展開しています。これから起業する後続経営者にとって、「ゆで太郎」の選択手法は参考になるのでは。
【ひと言】
IT業界は後発企業が有利といわれます。その典型は中国社会で、物流やインフラが2周遅れと言われたのに、大掛かりなIT導入で今はネット販売で最も進んでいる国の一つ。ただ、対面販売やサービスをする社会では、古くからの老舗企業が強いです。これを負かせる方法を考えるのがこれからの起業創業者の腕です。知恵を絞って頑張りましょう。
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