セブン&アイが7月発行したばかりのスマホ決済サービス「セブンペイ」を、1カ月で撤退することを決めました。スタート後の3日間で150万人もの加入者を集めながらです。
システム上のセキュリティーに欠陥があり、運用開始早々に不正アクセスされ、加入者が不正に資金を使われる事件が起こっています。小売業ではわが国最大手のセブン&アイに何が起こったのか。
まず、決済サービスを立ち上げるのが遅すぎる点が上げられます。セブンは前鈴木会長の退任騒動以降、社内のゴタゴタが続いていましたから、新規サービスはほぼ手付かずの状態でした。
その影響でしょうか、一般的な社内のアプリ開発とマネー決済とを同列に考えていた節があります。本来ならセキュリティー対策を最初から厳重にするサービスなのに、スタートした後から修正して運用しようとしていたようです。
アナログサービスとデジタルサービスとを見誤っています。これらは、新規事業を始めようとするときの経営幹部の判断ミスです。中小企業が新たに事業するのとは決定的に違います。
まず開発資金は十分にあることです。外部スタッフを使うにしても人材にも余裕があります。しかも、利用顧客まで当初から数百万人は見込める事業のシステム開発です。
そんなある程度成功が確実視されているなかでのスマホ決済サービスの開発でした。他社と比較して新規性のほとんどないシステムを開発し、セキュリティー不足で失敗した何ともしまらない話です。
逆に考えますと、大手の開発力がこの程度ですから、ベンチャー企業には生き残る余地もけっこうありそう。大きくなり過ぎた風船はパンクするしかないように、コンビニ王者セブンイレブンも縮み過程に入っているのかも。
【ひと言】
起業、新規事業、日ごろのビジネスに関わらず、取り組む前に全体像を描いてから着手する方法と、コアな部分から始めてその後は修正を繰り返しながら全体を創る手法とがあります。一応、プログラミング設計などIT系は全体像を創ってから、修正の繰り返しはアナログ系と言われます。これからの仕事においては、この方法を意識して取り組んでみては。それにしても暑い日が続きますね。お体には気をつけて。