株価の下落や企業収益の減少など、世界的に不況の足音は大きくなっています。中小企業の中には不況が深刻化する前に、余裕資金を使って新規事業を立ち上げようと考える経営者も多数います。
そんな経営者の方に参考になればと思うのが、下水道工事の大盛工業のケースです。この会社、年間売上高44億円、従業員60人のバリバリの中小企業ですが、新規事業の開拓にも熱心な会社です。
3年前には、全く畑違いの鍼灸整骨院を子会社により開業しました。全国レベルで騒がれた、整骨院開業ブームが収まった後からの開業でしたから、苦戦はある程度覚悟の上の開業です。
今年7月に整骨院を清算しましたが、この3年間で一度も黒字になることはなかったです。予想してたよりも来店客数が少なく、この先も黒字に転換することは難しいと判断しての清算です。
このような傾向は、各地に開業しているマッサージ店の駐車スペースの利用者の車をチェックすると分かります。2、3年位前までと比較すると、現在はどこのマッサージ店も苦戦しているようです。
原因として考えられるのは、マッサージに通う人の全体数が減っている印象が強くあります。腰が痛い、疲れが残るのでマッサージに通っていても、効果が出ないと止める人が増えます。
整骨院の場合、保険適用のチェックが厳しくなっているという声を聞きます。今後、働き方改革で残業が減り、収入も減額させられると、これら身体のケアに関するビジネスはますます厳しくなります。
【ひと言】
以前はよく「経営者の勘」という言葉が使われましたが、今は勘を口にする人が少なくなっています。AI(人工知能)が活躍する変化の激しい時代、人間の勘はあまり重宝されないのでしょうか。最近気になっているのは、勘を働かせて答えを出すのではなく、答えを出すための方法を考え付く人が良い仕事をしていること。これも立派な勘です。
