埼玉県南西部から首都圏にかけ、広く知られているやきとんチェーン店「ひびき」が、民事再生法を申請しました。1990年代後半、バブル経済が崩壊しこの国のビジネスが縮小するなか、焼き鳥に代わる豚肉で市場を広げてきた会社です。
当時、全国的にB級グルメが見直され人気を博した時代です。全国各地で昔から親しまれてきた手軽な焼きそば、カレー、ラーメン、コロッケ、丼ぶりモノなど大挙して売り出しました。
焼き鳥は一線を画し、B級グルメではなく全国やきとり連絡協議会として独自の団体を立ち上げます。このとき協議会設立の中心となり、全国的な組織を築いたのが「ひびき」でした。
その後も、会社組織をどんどん拡大させていた局面だけに、民事再生の申請で批判を受けるのは仕方ありません。これまでも著名な創業者の場合、会社を2、3度危機的状況に追い込まれる経験をしている人は少なくありません。
会社経営者としては、ここからが勝負のような気もします。過去に経営者で苦渋を舐めた経営者の話を聞くと、会社が置かれている立場と、お客さんや社会の状況とに大きな開きがあることを感じると言います。
会社をスタートさせた当初は、経営知識や社会状況に関心が高く、少しでも学ぼうとする気持ちも強いです。順調に会社が成長しますとほとんど能力の出力ばかりで、経営や時代の空気など入力することは少なくなります。
特に、現代のように変化の激しい時代、入力せずに過去の知識と経験の出力ばかりでは会社がガス欠を起こします。経営者にとり常に頭の中の「認知資源」を満たしておくことは重要です。
起業する前、まだ会社に勤めている時から、自分のビジネスに必要な「認知資源」を意識することです。怠っていると、直ぐに昔の人になってしまうのが今の時代です。
【ひと言】
最近は、倒産した会社の話はほとんど聞くことがなく、廃業する話ばかりでした。そのため、一挙に倒産する会社がでるのではないかと心配していました。今は、投資会社がたくさんあって、しっかり事業をしている会社の場合、民事再生により新たな会社として再生することが可能です。あまり悲観することはないけど、やはり関係者にはショックですね。