9月9日午前5時ごろ千葉市に上陸した台風15号は、千葉市で最大瞬間風速57.5m、木更津市49m、成田市45.8mなど、15地点で観測史上1位となる風速を記録しています。
そのため千葉県では57万4500軒が停電しました。翌10日に東京電力は、11日未明までに約12万軒まで停電世帯を減らせると発表。誰もが2、3日で停電は終わると考えていました。
ところが、1週間が過ぎても10万軒近い停電世帯があります。9月中までには全ての停電をなくしたいと言いだす始末です。インフラの最も完備しているはずの首都圏で何でこんな事態が起こったのか?
東電は現状認識の作業がスッポリ落ちていたように思います。台風による被害状況に対し精度の高い調査をすることなく、過去の台風被害の経験データを基に復旧計画を立てたのではないか?
これはあくまでもわたしの個人的憶測です。起業や新規事業において、よく失敗する原因の一つとして、現状をしっかり認識した上で計画を立てる基本的な作業を抜かす人がよくいます。
現状認識を抜かすことで、計画立案は格段にスピードを上げることができます。障害となる制約がありませんから、全社を挙げての理想の計画ができますが、その後の現場ではたいへんなことが起こります。
千葉の場合も、過去に経験のない暴風が吹き荒れましたから、電力設備の直接被害ばかりでなく、現場に向かう道路の遮断が多数あります。台風直後の初動前に、もう少し多様な意見を聞いて判断したなら結果は変わっていました。
そう考えますと千葉の大規模停電は人災に思われてきます。似たような現状認識を抜かす計画はビジネスでもよく起きます。このような生命の危機に関わるときに、よく政府が使うオールジャパンと誰も言わないのも不思議です。
もう一つ付け加えるなら、日本国内の住宅やビルに関して、経済工法が導入された1960年頃から83年の工法改正までの期間に建てられた構造物は危険と言われています。
今回の災害をきっかけにわれわれは、災害のレベルが大きく変わったことを知る必要がありそうです。地球温暖化は、気象ばかりでなく経済も科学も政治も変えていく可能性があります。
【昔から今に通ずるビジネス金言】
「会社組織には、成長のためのアイデアを出す人とアイデアを潰す人とが必要」
若いやりてばかりが集まった会社があっけなく倒産することはよくあります。アクセルを踏む人ばかりの会社は、あちらこちらで衝突ばかりを繰り返し、自滅するしかありません。アイデアに反対する人の意見があって初めてアイデアに磨きがかかってきます。ボツになるアイデアもでてきます。起業では特にアイデアを潰す人は大事です。

